失語症と構音障害は違う?【種類・概要を作業療法士が解説!】

こんにちは、カピまるです。

今回は、「失語症の種類と概要」について解説します。

失語症って、たしか「言語障害」の1つだよね。

構音障害とは何が違うんだろう…?

リハビリテーション専門職にとって、コミュニケーションは非常に重要です。

失語症をはじめ各種言語障害について理解することは、基本的に必須の知識です。

本記事では、構音障害との違いをはじめ、失語症の種類や概要についてまとめます。

是非ご自身の知識の整理と、今後の学習に役立てて下さい。

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失語症と構音障害のちがい

言語障害における神経徴候として重要なのが、

  • 構音障害(dysarthria)
  • 失語症(aphasia、dysphasia)

であり、2つは必ず鑑別すべきものです。

それぞれについて、以下にまとめていきます。

構音障害(dysarthria)構音障害

構音障害は、発語に関係する神経や筋肉の障害によって生じます。

神経や筋肉の障害によって唇や舌が動かしにくくなることで、

  • 発音がはっきりしない
  • 声が小さくなる
  • テンポ良く話せない

といった「話す」機能が障害され、うまく喋れない等の症状がみられます。

重要
  • 障害されるのは「話す」機能のみ。
  • 「言語理解」「書字」「読書」に関しては、障害されない。

失語症(aphasia、dysphasia)

失語症は、脳の言語中枢障害によって生じます。

重要
  • 発語に関係する神経や筋肉には異常がみられない。
  • 知能や意識低下、聴力も障害されない。

それにもかかわらず、言語による表現や文字の理解が困難になります。

構音障害とは、明らかに症状が異なります。

しかし、どちらにも共通しているのは、見た目からはわかりにくい障害であることです。

他人から誤解を受ける可能性があるため、十分に注意しましょう。

失語症の種類

失語症は、損傷された部位により出現する症状が異なる特徴があります。

大まかな分類をすると、失語症は流暢性失語非流暢性失語に分けられます。

非流暢性失語流暢性失語
発語の量少ない正常または多い
発語に対する努力努力を要する正常
韻律障害あり正常
句の長さ短い長い
統語障害単語の羅列が多い言葉としてはつながるが、
内容は不明(錯文法)
錯誤ほとんどない多い
言語促拍減少増加
障害部位ブローカ野ウェルニッケ野

流暢性失語、非流暢性失語は、さらに以下のとおり分類されます。

流暢性失語
  • ウェルニッケ失語
  • 超皮質性感覚性失語
  • 伝導失語
非流暢性失語
  • ブローカ失語
  • 超皮質性運動性失語
  • 全失語

これらは主に、聴覚理解の程度や復唱の程度によって分類されています。

各種失語症の概要

次に、先ほどご紹介した5つの失語症

  • ウェルニッケ失語
  • 超皮質性感覚性失語
  • 伝導失語
  • ブローカ失語
  • 超皮質性運動性失語
  • 全失語

について、それぞれ解説していきます。

ウェルニッケ失語

ウェルニッケ失語は、別名「皮質性感覚性失語」とも呼ばれます。

「感覚性」という名のとおり、発語機能には異常がみられません。

一方で、自分が発している言葉と相手が発した言葉に対する理解力が低下します。

ウェルニッケ失語の特徴的な症状として、

  • 錯誤
  • 語健忘
  • 保続
  • 錯文法

が顕著にみられ、何を言おうとしているのか分からなくなります。

言語理解や文章理解におよぶ障害の程度は、軽度~重度までさまざまです。

ウェルニッケ失語は、シルビウス溝後下縁から上側頭回、中側頭回の後半部を中心とした領域の障害によって引き起こされます。

障害の原因としては、中大脳動脈皮質枝の閉塞によるものが多いとされています。

機能症状
発話流暢、錯誤
聴覚理解障害あり
復唱障害あり
呼称障害あり
音読機能障害あり
音読理解障害あり
書字障害あり
特徴的な症状錯誤、喚語困難、音韻性錯語、語性錯語、錯文法
損傷部位シルビウス溝後下縁から上側頭回、中側頭回の後半部

ウェルニッケ野の下を視神経が通過して視覚中枢へと伸びているため、病巣によっては、反対側の視野障害になる場合もあります。

超皮質性感覚性失語

参考

言語野は障害されていないにもかかわらず、その周辺領域が障害されて失語症を呈する時、「超皮質性失語」と呼びます。

病巣は、ウェルニッケ野の後方とされています。

ウェルニッケ失語から回復して、超皮質性感覚性失語となることが多いです。

超皮質性感覚性失語では、しばしば「反響言語(オウム返し)」がみられます。

言われたことをそのまま繰り返すため、復唱は良好ですが、内容は理解していません。

読む機能も同様に、音読は出来ますが、意味は理解できないことが多いです。

機能症状
発話流暢、反響言語(オウム返し)
聴覚理解障害あり
復唱良好
呼称障害あり
音読機能障害あり
音読理解障害あり
書字障害あり
特徴的な症状語性錯誤、反響言語(オウム返し)
損傷部位ウェルニッケ野後方部

伝導失語

伝導失語は、別名「中枢性失語」とも呼ばれます。

ウェルニッケ中枢とブローカ中枢をつなぐ弓状束、縁上回、皮質下白質などが損傷された場合に出現する失語症状です。

言語や文字の理解はできますが、復唱が著しく障害されます。

自発言語は流暢ですが、錯誤があり、読み間違いや書き間違いみられます。

機能症状
発話流暢、錯誤
聴覚理解良好
復唱障害あり
呼称一部障害あり
音読機能障害あり
音読理解良好
書字障害あり
特徴的な症状喚語困難、音韻性錯語
損傷部位ウェルニッケ中枢とブローカ中枢をつなぐ弓状束、
縁上回、皮質下白質など

ブローカ失語

ブローカ失語は、別名「皮質性運動性失語」とも呼ばれます。

ブローカ野とその周辺領域(中心前・後回の下部、頭頂弁蓋部、島葉など)の皮質および皮質下白質の広範な障害が関与しているとされています。

障害の原因としては、中大脳動脈の閉塞が最も多いとされています。

その他にも、脳出血、脳腫瘍、脳外傷によっても障害されます。

機能症状
発話非流暢(高度になると無言状態)
聴覚理解正常
復唱障害あり
呼称障害あり
音読機能障害あり
音読理解一部障害あり
(複雑な命令に対しては理解困難)
書字障害あり
特徴的な症状発語失行、喚語困難、音韻性錯語、語性錯語、失文法
損傷部位ブローカ野周辺(中心前・後回下部、頭頂弁蓋部、島)の広範領域

また神経学的には右片麻痺を伴うことが多く、右手による書字は困難な場合があります。

超皮質性運動性失語

超皮質性運動性失語は、ブローカ領野の前方~上方、補足運動野を含む左前頭葉内側面、左側脳室前角の前外側部白質などが損傷された場合に出現する失語症状です。

ブローカ失語から回復して、この失語に移行することが多いとされています。

非流暢性の失語であり、自発言語は少ない傾向がみられます。

話しかけれない限り、自ら話はじめることはほとんどありませn。

一方で、言語理解や文字理解、音読理解といった聴覚機能は保たれており、復唱も良好です。

機能症状
発話非流暢
聴覚理解比較的正常
復唱良好
呼称障害あり
音読機能障害あり
音読理解良好
書字障害あり
特徴的な症状発話困難、声量低下
損傷部位ブローカ領野の前方~上方、補足運動野を含む左前頭葉内側面、
左側脳室前角の前外側部白質など

全失語

全失語は、ブローカ領野を中心とした前方言語領域とウェルニッケ領野を中心とした後方言語領の広範囲が損傷された場合に出現する失語症状です。

原因は中大脳動脈の梗塞が多く、中大脳動脈の全領域が侵されて生じます。

回復しにくく、回復してもブローカ失語に似た状態に移行するとされています。

全失語は、

  • 聞く
  • 話す
  • 読む
  • 書く

といったあらゆる言語機能が全て障害され、最も重症度が高い失語症です。

機能症状
発話非流暢あるいは全くなし
聴覚理解障害あり
復唱障害あり
呼称障害あり
音読機能障害あり
音読理解障害あり
書字障害あり
特徴的な症状失語症の中で最も重症
損傷部位ブローカ領野を中心とした前方言語領域とウェルニッケ領野を中心とした後方言語領
中大脳動脈の全領域が侵されることで生じる

さいごに

本記事では、「失語症の種類と概要」について解説しました。いかがでしたでしょうか。

リハビリテーション専門職にとってコミュニケーションは非常に重要であり、言語機能障害について理解することは必要不可欠です。

本記事を通して知識の整理を行うとともに、今後の学習に是非役立てて下さい。

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