
高次脳機能障害の評価で注意点はなにかある?
こんにちは、カピまるです。
今回は、『高次脳機能障害に対する作業療法』をテーマに解説していきます。
↓↓前回までの記事は、以下からご覧下さい↓↓
高次脳機能障害の特徴としては、以下のものが挙げられます。
- 多様で複雑な症状が出現する
- 症状はみえにくく、不安定である
- 症状の出現が不規則である
- 認知や意識、注意、記憶の障害など、症状の自覚が難しい
- 周囲の人に症状が理解されにくい

高次脳機能障害ってこんなに複雑なんだ…
高次脳機能障害は、症状の自覚が難しいだけでなく、周囲の人からも理解されにくい症状です。
そのため、症状に対する介入方法について正しい知識を持つことが重要です。
本投稿では、主に高次脳機能障害に対するリハビリテーションとADLとの関連性について解説していきます。
高次脳機能障害とADLの関連性

高次脳機能障害に対する作業療法とADLとの関連性について、『日本脳卒中ガイドライン』では、以下のように記載されています。
リハビリの実施時期
発症直後から、急性期・回復期・維持期にわたって、一貫した流れでリハビリテーションを行うことが勧められるが、時期の区分についての科学的根拠はない(グレードC1)。
一般に脳卒中リハビリテーションは、
- 急性期
- 回復期
- 維持期
の3期に分けて行われています。
時期 | 概要 |
急性期リハビリ | 発症直後からベッドサイドで開始。 目標①:廃用症候群の予防 目標②:早期からの運動学習によるセルフケアの自立 |
回復期リハビリ | 集中的かつ包括的なリハビリを実施。 能力の最大限の回復と早期の社会復帰が目標。 |
維持期リハビリ | 回復期リハビリで獲得した能力を、維持することが目標。 |
時期については明確に区別されていませんが、一貫したリハビリテーションの提供が重要であるとされています。
高次脳機能障害に対する評価
- リハビリテーションを行うにあたり、脳卒中の病態、機能障害、活動制限、ADL障害、社会的不利(参加制約)を評価する必要がある(グレードB)
- 汎用され、信頼性・妥当性が検証されている、評価尺度を用いることが勧められる(グレードB)
『汎用され、信頼性・妥当性が検証されている、評価尺度』とは、
- Brunnstrom stage
- (modified)Ashworth scale
- Fugl-Meyer assesment
- Stroke Impairment Assessment Set(SIAS
- 脳卒中重症度スケール(JSS)
- NIH stroke scale
- Functional Independence Measure(FIM)
- Barthel Index
などが挙げられます。
高次脳機能障害に対する評価を行う際は、上記の評価スケールを使用する必要があります。
運動障害・ADL機能障害に対するリハビリ
脳卒中後遺症に対しては、機能障害および能力低下の回復を促進するために、早期から積極的にリハビリテーションを行うことが強く勧められる(グレードA)。
作業療法や理学療法による集中的なリハビリテーションを行うことは、ADL機能および在宅復帰率の向上が認められており、実施が強く推奨されています。
認知機能障害に対するリハビリ
- 脳卒中後は、失語・失行・失読・失認・半側空間無視・注意障害・記憶障害・遂行機能障害・知能障害・情緒行動障害(うつ状態を含む)などの認知障害の有無とその内容、程度を評価することが望ましい。
- 認知障害に対するリハビリテーションには、損なわれた機能そのものの回復訓練と代償訓練があり、ADLの改善を目的とすることが勧められている(グレードB)。
- 注意障害に対し、さまざまな認知訓練が勧められるが、効果の持続やADLの般化に対して十分な科学的根拠はない(グレードC1)。
- 半側空間無視に対し、認知リハビリテーションの実施が勧められるが、治療の永続的効果やADLへの般化について、十分な科学的根拠はない(グレードC1)

リハビリ自体は推奨されてるね!

ただ、十分な根拠がないものもあるね…
現状では、特定の認知機能訓練(例:かな拾いや線分抹消課題などの机上課題)を実施してもADLに般化するかは不明確です。
そのため高次脳機能障害の評価では、
- 日常生活でどのようなことに困っているのか
- どんな訴えがあるのか
について正しく把握し、ADLに対して直接介入を行うことが重要です。
さいごに
本記事では、高次脳機能障害に対するリハビリテーションとADLとの関連性について解説しました。
くり返しになりますが、高次脳機能障害に対するリハビリテーションでは、
- 日常生活でどのようなことに困っているのか
- どんな訴えがあるのか
について正しく把握し、ADLに対して直接介入を行うことが重要です。
今回は以上になります。本投稿を、今後の生活に役立てていただければ幸いです。
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