筋緊張の基礎知識【概要、評価尺度について解説します】

こんにちは、カピまるです。

今回は、筋緊張をテーマに解説していきたいと思います。

筋緊張ってどうにも分かりにくい分野だよね…。

痙縮、固縮、クローヌスとか言葉も難しいし…

筋緊張は、リハビリテーション専門職であれば理解しておく必要がある重要分野です。

今回は、『筋緊張の基礎知識』をテーマに、筋緊張とは何か?という基礎的な部分から各種用語の説明、筋緊張検査の概要等についてまとめます。

是非最後までご覧いただき、今後の学習に役立てて下さい。

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筋緊張とは何か

筋緊張(muscle tone, myotone)とは、筋の伸張に対する受動的抵抗、または筋に備わっている張力のことです。

神経支配を受ける筋は安静時状態でも持続的に収縮しており、この安静時の緊張状態を筋緊張または筋トーヌスと言います。

筋緊張は主に、

  • 姿勢保持機構
  • 体温調節機構

に関与しているとされています。

特に正常な筋緊張は、姿勢保持機構において運動あるいは姿勢保持の際に活動する骨格筋の準備段階で重要な役割を担うとされています。

筋緊張は、以下のように定義付けられています。

定義
  • 神経生理学的に神経支配されている筋に持続的に生じている筋の一定の緊張状態
  • 骨格筋は何も活動していないときにも絶えず不随意的にわずかな緊張をしており、このような筋の持続的な弱い筋収縮
  • 安静時、関節を他動的に動かして筋を伸張する際に生じる抵抗感

筋緊張 – Wikipedia

筋緊張検査の目的・意義

筋緊張検査を行う目的・意義は、主に以下のことが挙げられます。

目的・意義
  • 筋の緊張の程度やその分布を知る。
  • 筋緊張検査結果と、原因疾患やその他検査測定の結果とを合わせることで、治療プログラムの立案や効果判定を行う。
  • 筋緊張異常による変形の進行や日常生活への影響を予測・防止に役立てる。

筋緊張の異常

筋緊張の異常には、『低下』『亢進』があります。

1.筋緊張低下(hypotonia)

筋緊張低下(hypotonia)とは、筋肉の張り(筋緊張)が弱い状態を指します。

筋緊張の評価としては、

  • 筋肉を指でつまんだ際の硬さ
  • 関節をぶらぶらと揺らした際の振れ具合
  • 関節を伸ばした際の可動域

主にこうした点から評価されます。

【原因】

筋緊張が低下する主な原因は、以下の通りです。

原因
  • 筋力そのものが低下する筋肉の病気(脊髄性筋萎縮症、シャルコー・マリー・トゥース病)
  • 神経もしくは神経筋接合部の異常による病気(各種筋ジストロフィー、先天性ミオパチー、糖原病Ⅱ型、ミトコンドリア病)
  • 中枢神経系の異常による病気(脳性麻痺、ダウン症、脳外傷)

【症状】

上記の原因によって生じる筋緊張低下は、多くは新生児や幼児で発症します。

筋緊張低下の代表的な症状としては、

  • 手足がだらりと垂れ下がる
  • カエル足のように足がベタっと床につく
  • 首がすわりにくい
  • ミルクを飲む力が弱い
  • 泣き声が弱い
  • わきを抱き抱えた際に肩が脱臼することがある

等が挙げられます。

また原因疾患によっては、

  • 筋委縮
  • 関節拘縮
  • 呼吸器障害
  • 知的障害
  • 意識障害

といった症状を伴う場合もあります。

2.筋緊張亢進(hypertonia)

筋緊張亢進(hypertonia)とは、文字通り筋緊張が強い状態を指します。

代表的なものとして、

  • 痙縮(spasticity)
  • 固縮(rigidity)
  • 痙性固縮(rigidospasticity)

この3つに分類されます。

この他にも、除脳硬直、除皮質硬直、パラトニア(脱力困難)等の状態があります。

【痙縮(spasticity)】

痙縮は感覚運動系の障害と考えられています。

一般には、

  • 腱反射の亢進
  • クローヌス
  • 折りたたみナイフ現象

等を伴う、筋緊張が亢進した状態であるとされています。

痙縮の背景要因として、筋を素早く伸張させた際の筋反射の亢進状態(相同性伸張反射)が考えられます。

こうした反射亢進は、上肢では屈筋、下肢では伸筋に強く認められます。

【固縮(rigidity)】

固縮は痙縮と異なり、筋の伸張速度とは関係がありません。

他動運動の初めから終わりまで、筋の長さが変化する際に抵抗感を示す状態を指します。

筋が伸長され、緊張が一定に保たれている間、持続的に認められます。

一般に固縮では腱反射の亢進はあまり見られず、屈筋・伸筋間での大きな差は認められません。

【痙性固縮(rigidospasticity)】

痙性固縮は、痙縮と固縮が混合した状態です。

他動的に筋を伸張させた際、初期に強い抵抗を示し、その後筋伸張を続けている間、全可動域わたって弱い抵抗感が感じられるものを指します。

筋緊張の検査方法

筋緊張は、主に以下の方法で検査を行います。

検査方法
  • 安静状態での四肢の視診および触診
  • 他動運動
  • 筋電図
  • 動作観察

筋緊張は安静時だけではなく姿勢や動作時にも変化するため、安静時だけではなく、姿勢時や運動時での検査も行います。

他動運動による検査では、背臥位のように安静状態で心身ともにリラックスした肢位で行うことが大切です

以下、表にまとめていきます。

筋緊張評価の種類内容
1.主観的評価・視診および触診
 筋、腱の輪郭、筋の硬さ
・他動運動
 伸展性、被動性  
2.客観的評価・筋電図
 針筋電図、誘発筋電図
・生体力学評価
3.動作時の評価・連合反応
・自動、他動可動域
4.日常生活活動の評価・関節拘縮による影響
・ADL遂行時の影響

【参考】評価様式の紹介(抜粋)

上記で説明した検査方法の中で用いられる評価様式を、一部抜粋してご紹介します。

1.MAS(Modified Ashworth Scale)

MAS(改訂版アシュワース尺度)は、四肢の関節における他動運動の抵抗感を6段階で評価したものです。

脳血管障害や脊髄損傷患者を対象に、主に医師、理学療法士、作業療法士が評価を行います。

点数が高くなるにつれて、筋緊張増加の程度が大きくなることを示しています。

MASにおけるメリット・デメリットは以下の通りです。

メリット
  • 道具を使用せず、簡単に評価を行うことが出来る。
  • ベッドサイドでも評価可能
デメリット
  • 他動運動の速度や肢位等について、細かな基準が設けられていない
  • 痙縮と拘縮の区別が曖昧

点数概要
筋緊張の増加なし
軽度の筋緊張増加あり。
患部の屈曲・伸展運動をさせると、引っかかりとその消失, もしくは
可動域の終わりにわずかな抵抗がある
1+軽度の筋緊張増加あり。
引っかかりが明らかで、可動域の1/2以下の範囲で若干の抵抗がある。
さらにはっきりとした筋緊張増加が全可動域を通して認められる。
一方で、患部は容易に動かすことが出来る。
かなりの筋緊張増加あり。他動運動は困難。
患部は固まり、屈曲・伸展不可。

2.Shoulder Shaking Test、Pendulum Test

これらは、他動運動による評価に含まれています。

Shoulder Shaking Testでは、立位もしくは座位で両肩を持って前後に揺すった時の上肢の動きを評価します。

Pendulum Testでは、床に足が着かないようにして下腿を振り動かした時の振り幅の大きさや持続時間を評価します。

評価のポイントは以下の通りです。

ポイント
  • 筋緊張低下 ⇒ 動きが大きく、持続時間が長い
  • 筋緊張増加 ⇒ 動きが小さく、振幅が小さく動きがすぐに止まる
注意点
  • 運動速度によって筋緊張が変化するため、一定速度で検査する必要がある
  • 高齢者等では脱力することが難しく、正確に検査を行えないことがある

高齢者のように上手く脱力出来ない場合には、

  • 精神的な緊張を取り除く
  • 運動速度を適度に変えてみる
  • 検査に意識が向きすぎないよう、注意を逸らさせる

といったように、工夫を施す必要があります。

最後に

今回は、『筋緊張の基礎知識』をテーマに、筋緊張とは何か?という基礎的内容から筋緊張検査の概要等についてまとめました。いかがでしたでしょうか。

リハビリテーション専門職にとって筋緊張の評価は、その後の治療計画を立案する上で非常に重要となります。

本記事を今後の学習に役立てていただければ幸いです。

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