半側空間無視とは?症状の概要と評価尺度について

こんにちは、カピまるです。

今回は、『半側空間無視の基礎知識』をテーマに解説していきます。

カピまる
カピまる

半側空間無視ってたしか

高次脳機能障害の1つだよね!

症状の概要や評価方法について、

くわしく教えてください!

本記事では、こうしたご意見にお答えしていきます。

  • 半側空間無視の概要について、新たに学びたい
  • 検査方法について知っておきたい
  • これ学んだ内容について復習したい

これらに該当する方は、ぜひ最後までご覧いただき、今後の学習に役立ててください。

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半側空間無視の概要

半側空間無視(Unilateral spatial neglect:USN)は、以下のように定義されています。

大脳半球損傷例の反対側に呈示された刺激を報告する、刺激に反応する、与えられた刺激を定位することの障害である

カピまる
カピまる

なんかすごく難しいね。

要するにどういうこと…?

つまり、大脳半球が障害されることによって、片側からのあらゆる刺激を認識できなくなる症状です。

視覚や聴覚に問題がないのに、対象物や刺激に対して反応できなくなってしまいます。

症状の多くは、左側の対象物に気付かず刺激に反応できない左半側空間無視です。

◎主な責任病巣

空間に対する認知や注意機能の中枢は、右半球に存在します。

右半球が障害されることで、その反対側である左側が障害されます。

N君
N君

左半側空間無視が生じやすいのは、

これが理由なんだね!

半側空間無視の責任病巣は、

  • 頭頂葉
  • 側頭葉
  • 前頭葉

と幅広い領域が該当します。

それぞれの単独病変でも障害が起こり得るとされています。

しかし頭頂葉と側頭葉の接合部のように、より症状をきたしやすい部位も存在します。

この中で頭頂葉では、縁上回や角回から構成される下頭頂小葉が、責任病巣とされています。

このほかにも、

  • 視床
  • 島葉

などの損傷によっても、症状が生じる場合があります。

◎主な症状

半側空間無視の主な症状は、以下のとおりです。

  • 顔や眼球が右側を向いている
  • 寝ているときに左側の手足の位置を気にしない
  • 左側にいる人・モノに気づかない
  • 体が左側に傾いている
  • 曲がり角で車いすや体を左側の壁やモノにぶつける
  • 体の左側に対して無関心である
  • 新聞や本を左に読み進められない
  • 絵を描く時に、右側半分の絵になってしまう
  • 車いすで左側のブレーキやフットレストの操作を忘れる
  • トレイや皿の左側にあるものを食べ残す
  • 着替えのときに左側の袖を通さない
  • 衣類の上下左右がわからなくなる
  • 左側だけ髭を剃り残す
  • 左側だけ髪を整えていない  など

カピまる
カピまる

左側に注意が向けられないと、

日常生活に大きく影響するね。

このように半側空間無視の症状は、あらゆる場面で観察することができます。

ポイント
  • 患者自身は、半側を無視しているということに気付いていない。
  • 臨床場面での行動観察は、注意して行う必要がある。

◎発症率

半側空間無視の発症率は、おおよそ右半球損傷の4割とされています。

急性期の場合では、5割を超えるといった報告がされています。

一方、左半球損傷後におこる右半側空間無視はまれであり、症状も軽度である場合が多いです。

主な評価方法

半側空間無視の評価は、

  • 机上課題
  • ADL観察

の2つに分けられます。

さらに、机上課題もいくつかの種類に分けることができます。

ポイント
  • 1つの課題の結果を鵜吞みにする必要はない。
  • 種類と難易度が異なる課題を組み合わせて、症状の有無を判断する。

◎机上課題

半側空間無視で使用する机上課題は、以下のとおりです。

  • 線分二等分課題
  • 抹消課題
  • 模写課題
  • 描画課題
  • 書字・読字

標準化された評価方法として、行動性無視検査(Behavioral Inattention Test : BIT)があります。

行動性無視検査(Behavioral Inattention Test : BIT)

BITの検査内容は、以下のとおりです。

通常検査行動検査
線分末梢課題写真課題
文字抹消課題電話課題
星印抹消課題メニュー課題
模写課題音読課題
線分二等分課題時計課題
描画課題硬貨課題
書写課題
地図課題
トランプ課題

通常の机上検査に加えて、行動場面での検査を行うといった特徴があります。

しかし、あくまで机上検査に過ぎないため、ADL評価は別に実施する必要があります。

◎ADL観察

半側空間無視の評価では、机上検査に加えてADL場面での観察がとても重要です。

カピまる
カピまる

リハビリテーション専門職に

1番求められることだね!

ADL場面における例を、以下にご紹介します。

ADL動作評価のポイント
食事・トレイの左側にある器に手を付けるか
・それぞれの器の左側に食べ忘れがないか
整容・洗顔、整髪、髭剃りのやり残しが左側で認められるか
・化粧の塗り忘れや歪みが左側で認められるか
排泄動作・トイレの左側にある手すりを探せるか
・左側にあるトイレットペーパー、ボタン、レバーを探せるか
移動
(車いす駆動・歩行)
・右もしくは左に寄っていないか
・左側にある障害物や目標物を見つけられるか
・車いす駆動中に、左上下肢を適切に管理できるか
更衣・上着に左手を通せるか
・左側の襟や袖を直せるか
・左足をズボンの左側へ通すことができるか
・ウエスト部分を腰までしっかり上げられるか
・左側の靴の着脱に問題がないか
入浴・身体の左側を洗い、拭くことができるか

このように、様々なADL活動を通して、症状の評価を詳細に行う必要があります。

Catherine Bergego Scale(CBS)

ADL場面で起こり得る半側空間無視の症状について、総合的に定量化できる指標があります。

これは『Catherine Bergego Scale(CBS)』と呼ばれ、以下10項目で構成されます。

得点評価のポイント
整髪または髭剃りの時、左側を忘れる
左側の袖を通したり、上履きの左側を履くときに
やりにくさを感じる
皿の左側の食べ物を食べ忘れる
食事の後、口の左側を拭き忘れる
左を向くのにやりにくさを感じる
左半身を忘れる
・左肘を肘掛けにかけるのを忘れる
・左足を車いすのフットレストに置き忘れる
・左上肢を使うのを忘れる
左側からの音や人に対して注意を向けるのが難しい
左側にいる人やモノ(ドアや家具)にぶつかる
(車いす駆動時・歩行時)
よく行く場所やリハビリ室で左に曲がるのが難しい
10部屋やふろ場で左側にあるモノを見つけるのが難しい

各項目について0~3点で評価します(最低点:0点、最高点:30点)。

  • 0点…無視なし
  • 1点…軽度の無視(時々見落とす程度)
  • 2点…中等度の無視(はっきりとした、恒常的な左側の見落とし・衝突)
  • 3点…重度の無視(左側をまったく探索できない)

また総合得点の解釈について、以下のとおり行います。

  • 合計0点…無視なし
  • 1~10点…軽度の無視
  • 11~20点…中等度の無視
  • 21~30点…重度の無視

このように、得点が高いほど半側空間無視の症状が重度であることを意味します。

さいごに

本記事では、『半側空間無視の基礎知識』をテーマに解説しました。

半側空間無視はリハビリ専門職との関わりが深く、しっかりと理解しておく必要があります。

本記事を、今後の学習に役立てていただければ幸いです。

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