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【記憶能力の評価】リバーミード行動記憶検査の概要について

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N君

記憶障害に対する評価について、くわしく勉強したいな!

カピまる

今回は『リバーミード行動記憶検査』の概要について解説していくよ!

記憶障害とは、それまでに知識や出来事として認識していた言葉や事柄といった情報を思い出せなくなってしまう症状のことです。

記憶障害が日常生活に与える影響はとても大きく、適切な支援を行ううえで、きちんと評価を行うことが極めて重要です。

そこで今回は、代表的な評価スケール『リバーミード行動記憶検査』について解説していきます。

  • 記憶障害に対する評価方法について学びたい!
  • 『リバーミード行動記憶検査』の概要について知りたい!
  • 臨床場面での実施を検討している!

上記のような方は、ぜひ参考にしていただき、今後の学習に役立ててください!

この記事を書いた人

<プロフィール>

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目次

リバーミード行動記憶検査の基礎知識

リバーミード行動記憶検査は、1985年にイギリス・オックスフォード大学で開発されました。

認知症をはじめとする、様々な疾患における記憶障害の有無とその程度について総合的に評価することができます。

リバーミード行動記憶検査は、ウェクスラー記憶検査( WMS-R )と同じく、

  • 言語性課題
  • 非言語性(視覚性)課題

を組み合わせたものであり、国際的に広く使用されています。

主な検査項目

リバーミード行動記憶検査は、以下9つの下位検査で構成されています。

  • 姓名の記憶
  • 持ち物の記憶
  • 約束の記憶
  • 絵の記憶
  • 物語の記憶
  • 顔写真の記憶
  • 道順の記憶
  • 用件の記憶
  • 見当識

検査の特徴

リバーミード行動記憶検査の特徴は、以下のとおりです。

  • 日常で経験する出来事が想定された検査である
  • 認知症の他、多くの疾患に対して使用できる
  • 国内外で広く使用されている
  • 練習効果を極力排除した状態で評価できる
  • 約30分程度で検査できる

この検査最大の特徴は、日常生活に焦点を当てた検査であるということです。

記憶障害に関するその他の検査である「ウェクスラー記憶検査」は、机上課題のみの検査です。

一方、「リバーミード行動記憶検査」は、より日常生活に近い状況に関する記憶の診断を行うことができます。

この点が、2つの検査の大きな違いであると言えます。

検査を行う際の注意点

検査を行う上での注意点は、以下の3つです。

  • スクリーニング検査の類ではない
  • 静かで集中できる環境を整える必要がある
  • 検査に伴う疲労について配慮する

リバーミード行動記憶検査は、スクリーニング検査の類ではありません。

誰でも簡単に実施できるというものではないため、注意が必要です。

検査機器の販売については、

  • 医療
  • 教育
  • 福祉

といった、専門機関に限定されます。

それ以外の機関で使用する場合には、専門家の指導のもとで行う必要があります。

N君

ウェクスラー記憶検査と同様に、
専門的な検査として扱われるんだね!

下位検査の内容

それぞれの下位検査の内容について、簡単にまとめていきます。

姓名の記憶

検者は被験者に対して顔写真を2枚見せて、それぞれの姓名を憶えてもらいます。

その後一定時間置いてから、検者に対して顔写真のみで姓名を答えさせます。

持ち物の記憶

検者は被験者の持ち物を1つもしくは2つ預かり、隠します。

検者はその他の検査終了後に、何を預けたか被験者に思い出させて、返却するよう要求させます(展望記憶)

約束の記憶

最初に約束事と答えを決めます。

20分後にアラームが鳴るように設定し、検者はアラームが鳴ったら決められた質問をします。

そして、それに対し回答してもらいます(展望記憶)

絵の記憶

検者は被験者に対しある絵を一定時間呈示します。

そして、時間を置いてからその絵の内容について質問します(視覚的課題)

物語の記憶

検者は被験者に対して、ある短い物語を聞かせてます。

そして、その直後と一定時間経過後の計2回、どのような物語であったか回答させます(言語的課題)

顔写真の記憶

検者は被験者にある人物の顔写真を2枚見せます。

そして、後からどれが先ほど見たものと同じ顔写真であるか回答させます(視覚的課題)

道順の記憶

まず部屋の中で検者が道順をたどって見せます。

そして、その後一定時間置いてから、被験者が同様の道順をたどれるかどうかを判定します(空間的課題・展望記憶)

用件の記憶

検者は「7.道順の記憶」の途中で、被験者に対して他の用事(別の道順をたどる課題)を直後と一定時間経過後の計2回実施します(直後・遅延、展望記憶)

見当識

検者は被験者に対して、日付や場所、知事名等について質問します(近時・遠隔記憶)

カットオフ値について

リバーミード行動記憶検査では、

  • 「スクリーニング得点」…記憶障害全般について
  • 「標準プロフィール得点」…日常生活における障害の度合い

の2種類の得点から評価を行います。

  • 『スクリーニング得点』→満点ならば1点、それ以外は0点の12点満点
  • 『標準プロフィール得点』→各項目の基準によって0~2点で換算、24点満点

診断の目安として、年齢ごとのカットオフ値(病態識別値)が設定されています。

スクリーニング得点

  • 39歳以下:7 / 8
  • 40~59歳:7 / 8
  • 60歳以上:5 / 6

標準プロフィール得点

  • 39歳以下:19 / 20
  • 40~59歳:16 / 17
  • 60歳以上:15 / 16

また『標準プロフィール得点』のカットオフ値は、以下のように定められています。

【0~9点:重度記憶障害、自立困難、介助者必須】

  • 0~6点:病院や自宅でも迷う危険性がある
  • 7~9点:慣れれば院内で迷うことはなくなる

【10~16点:中等度記憶障害】

  • 11~14点:病識はあるが記憶にムラがあり、自己認識が不十分な状態
  • 15点:1人での通院、通学が可能になる
  • 16~17点:自らノートを見返し、指摘されたことを積み重ねて記憶出来る

【17~21点:ボーダーライン / 軽度記憶障害】

  • 17点:1人で計画的に買い物が出来る
  • 18点:復職を検討する

【22~24点:健常範囲】

結果の解釈

『標準プロフィール得点』の解釈は、以下のとおりです。

  • 7点以下…病棟内での迷子や徘徊の可能性が疑われる
  • 9点未満…対象者の行動に対し、多くの指示や監視を必要とする

1人で自立した生活をおくる上では、最低でも16~17点を越えている必要があります。

しかし、これはあくまでもカットオフ値に過ぎません。

それぞれの検査項目の得点を分析し、記憶のどの側面において機能低下・障害が生じているかを見極める必要があります。

それによって、記憶障害が日常生活へ及ぼす影響について深く検討することが大切です。

さいごに

本記事では、『リバーミード行動記憶検査』について解説しました。

記憶障害が日常生活に与える影響はとても大きく、適切な支援を行ううえで、きちんと評価を行うことが極めて重要です。

総合的な評価スケールである『ウェクスラー記憶検査』は、臨床でも使用する機会が多くあるため、今一度概要などについて確認しておきましょう。

以下の記事では、記憶障害に対するその他の評価スケールについて、くわしく解説しています。

今回は以上です。最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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