失語症に対する作業療法【評価の概要と解釈について】

こんにちは、カピまるです。

今回は、「失語症に対する作業療法」をテーマに解説します。

カピまる
カピまる

前回は、「失語症の種類」についてだったね!

N君
N君

具体的な作業療法について知りたいな!!

リハビリテーション専門職にとって、失語症をはじめとする各種言語障害について理解することは、非常に重要です。

本記事では、主に

  • 失語症にともなう生活障害
  • 失語症に対する作業療法評価
  • 代表的な評価方法のご紹介

この3項目について、くわしくまとめていきます。

ぜひ最後までご覧いただき、今後の学習に役立てて下さい。

↓↓失語症に関するその他の記事も、あわせてご覧ください↓↓

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復習:失語症の病態について

簡単に、失語症の病態について復習していきます。

一般的に失語症は、非流暢性失語流暢性失語の2種類に分けられます。

非流暢性失語流暢性失語
発語の量少ない正常または多い
発語に対する努力努力を要する正常
韻律障害あり正常
句の長さ短い長い
統語障害単語の羅列が多い言葉としてはつながるが、
内容は不明(錯文法)
錯誤ほとんどない多い
言語促拍減少増加
障害部位ブローカ野ウェルニッケ野

さらに、流暢性失語と非流暢性失語には、以下の失語が含まれます。

流暢性失語
  • ウェルニッケ失語
  • 超皮質性感覚性失語
  • 伝導失語
非流暢性失語
  • ブローカ失語
  • 超皮質性運動性失語
  • 全失語

各種失語症の概要については、前回の記事をご覧ください↓↓

失語症による生活障害

失語症による生活障害としては、以下のようなものがあります。

生活障害の例
  • 自分の考えを相手に伝えられない
  • 他者が話す言葉を理解できない
  • 復唱ができない
  • 字が読めない
  • 言葉が思い出せない
  • 声が出せない(発話が困難)
  • 流暢に話せない
  • 字が書けない
  • 文法が崩れる

こうした障害は、失語症患者にさまざまな組み合わせと程度でみられます。

コミュニケーションが上手くいかないことは、精神的に大きなストレスとなります。

精神的なストレスはリハビリテーションの大きな妨げとなるため、適切な評価・治療を行う必要があります。

失語症に対する作業療法評価

臨床場面での失語症に対する評価について、以下にまとめます。

1.画像診断

言語には、一般的に「話す」「聞く」「読む」「書く」という側面があります。

「話す」「聞く」に関する責任病巣は、以下のとおりです。

症状責任病巣
話す発話、発語の障害、流暢に話せない左中心前回下部
喚語困難、語想起障害左中心前回後部、左シルビウス裂後端、左側頭葉
復唱障害左シルビウス裂後端
錯誤左下前頭回後部、左シルビウス裂後端
文法障害左下前頭回後部
聞く聴覚理解障害左上側頭回後部
語義障害左前頭葉前部
ジャルゴン左上側頭回後部~下頭頂小葉
※右利き(優位半球が左)を想定した場合

脳の特定部位の損傷は、失語症の発生とその症候に強く関係があると明らかにされています。

そして、損傷によって失語症を起こすような部位こそ言語機能の中枢である言語野です。

言語野は統計的に利き手との相関性があるとされており、90%以上の人は左大脳半球に言語野があるとされています。

2.標準失語症検査(SLTA)

失語症の評価として、国内では標準失語症検査(Standard Language Test of Aphasia:SLTA)が一般的に使用されています。

SLTAの評価項目は、以下のとおりです。

大項目小項目問題数内容
Ⅰ. 聴く1.単語理解10単語を聞いて対応する絵カードを指す
2.短文理解10短い文を聞いてその状況を表す絵を指す
3.口頭命令10口頭の指示に従って物品を移動する
4.仮名1文字理解10音節を聞いて対応する仮名1文字を指す
Ⅱ. 話す5.呼称20絵を見て物品名を言う
6.単語の復唱10単語を聞いて復唱する
7.動作説明10状況を表す絵を見て口頭で説明する
8.まんがの説明14コマまんがを見て、絵を口頭で説明する
9.文の復唱52~6文節からなる文を聞いて復唱する
10. 語の列挙15指定された種類の語(例:動物)を列挙する
11. 漢字単語の音読5漢字で書かれた単語を音読する
12. 仮名1文字の音読10仮名文字を1文字ずつ音読する
13. 仮名単語の音読5仮名で書かれた単語を音読する
14. 短文の音読5短い文章を音読する
Ⅲ. 読む15. 漢字単語の理解10漢字単語を見て対応する絵を指す
16. 仮名単語の理解10仮名単語を見て対応する絵を指す
17. 短文の理解10短い文章を読んで状況を表す絵を指す
18. 書字命令に従う10文章を読んでその指示通り物品を移動する
Ⅳ. 書く19. 漢字単語の書字5絵を見て物品名を漢字で書く
20. 仮名単語の書字5絵を見て物品名を仮名で書く
21. まんがの説明14コマまんがを見て、節を文章で書く
22. 仮名1文字の書取り10音節を聞いて仮名文字で書取る
23. 漢字単語の書取り5単語を聞いて漢字で書取る
24. 仮名単語の書取り5単語を聞いて仮名で書取る
25. 短文の書取り5短い文を聞いて書取る
Ⅴ. 計算26. 計算20加減乗除の簡単な計算をする

SLTAは、

  • 聞く(聴覚的言語理解)
  • 話す(口頭言語表出)
  • 読む(音読、読字理解)
  • 書く(自発書字、書取り)
  • 計算(四則筆算)

の5大項目から構成され、26の小項目があります。

それぞれの項目は、上の表で示すような内容の問題1~20問から出来ています。

SLTAでは、各大項目の機能について、

  • 言葉を聞いて絵カードを指す(Pointing)
  • 字カードと絵カードを合わせる(Matching)
  • 絵カードを指して名前を答える(Naming)
  • 字や文章を読ませる(Reading)

といった形式で検査を行います。

3.WAB失語症検査

検査のポイント
  • 言語機能の総合的検査バッテリーとして国内で使用されている
  • 言語症状の有無やタイプなどについて評価できる
  • 重症度を示す失語指数を算出することができる
  • 失語症のみならず、失行や半側空間無視(USN)、非言語性検査も含まれる

SLTAと同様に、失語症に対して国内で使用されている検査の1つです。

検査項目については、以下のとおりです。

検査項目
  • 自発語
  • 話し言葉の理解
  • 復唱
  • 呼称
  • 読み
  • 書字
  • 行為
  • 構成

検査は8つの項目からなり、38の下位項目で構成されています。

SLTAの採点方法

先ほどご紹介した評価のうち、SLTAの採点について解説します。

SLTAは、原則以下のように6段階で評価します。

段階内容
6.完全正答スムーズに回答した
5.遅伸完全正答遅れあるいはよどみがあったが正答した
4.不完全わずかに誤りがあった
3.ヒント正答段階6. 5. 4には達しなかったが、ヒントがあれば完成した
2.関連ヒントを与えられたあと、なお段階4に相当する誤りがあった
あるいは、ヒントで完成できなかったが一部は自力で正しく回答した
1.誤答ヒントを与えられたあと、なお段階2に達しなかった

各問について段階5と6を正答とみなします。

そして項目内で何問中何問に正答したか、正答率のプロフィールとして評価します。

さいごに

本記事では、「失語症に対する作業療法」をテーマに、評価の概要と解釈について解説しました。

言語障害の理解に加えて、実際に臨床で用いる評価について理解することは非常に重要です。

本記事を、知識の整理と今後の学習に役立てていただければ幸いです。

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