こんにちは、カピまるです。
今回は、『注意障害のリハビリ』をテーマに解説していきます。

注意障害に対するリハビリについて質問です。
どのような視点で介入すべきか分かりません。
ポイントなどあれば詳しく教えて下さい!
本記事では、こうした質問にお答えしていきます。
主に、
- リハビリを行う上での大原則
- 主な治療目的
- 注意障害に対するアプローチ4選
の3項目について、詳しくまとめていきます。
ぜひ参考にしていただき、今後の生活に役立てていただければ幸いです。
↓↓注意障害に関するその他の記事も、併せてご覧ください↓↓
リハビリを行う上での大原則

注意障害に対するリハビリを行う上での大原則は、以下のとおりです。
1.しっかりと覚醒した状態の時にリハビリを行う
十分に覚醒していない場合、
- 課題に集中できない
- 過度に疲労を感じてしまう
といった状態に陥る可能性が高くなります。

例えば、眠たい時やすごく疲れてる時だよね。
確かに集中しろと言われても難しいね…
そのため、まずは課題を実施出来る状態であるか確認する必要があります。
2.難易度の低い課題から高い課題へ、段階付けて実施する
課題を実施する順番にも注意が必要です。
- 簡単すぎる問題が続く場合
- 難しすぎる問題が続く場合
こうした課題では、その方の機能を適切に評価することが出来ません。
少しずつ難易度を上げていくことで、集中力を長時間保つことが可能となり、正しく評価することが出来ます。

解ける問題・解けない問題があるわけかぁ。
こうした課題は、自己肯定感や達成感につながるね!
3.結果に対するフィードバックを適宜行う
- 間違いが何問も続いてしまっている場合
- 表情などに不安そうな感情が表れている場合
こうした時には、現在の状態を伝え、正しく修正することを促す必要があります。
声掛けによって一区切りしながら行った方が、高い集中力を保つことができるので、課題成績も良くなります。

フィードバックのし過ぎはNGだよ。
適切なタイミングで行うことが大切なんだ!
主な治療目的

注意障害に対する主な治療目的は、以下のとおりです。
機能改善そのものの改善を目指す治療の場合、
- 注意障害全般に対するアプローチ
- 各注意障害ごとに練習する特異的アプローチ
の2つに分類され、目的別に介入方法も異なります。
そのため事前に評価を行う中で、
- 持続性
- 選択性
- 転換性
- 配分性
といった各注意機能障害のうち、どの項目に介入する必要があるか、把握する必要があります。
注意障害に対するアプローチ4選

注意障害に対するアプローチは、以下の4つがあります。
それぞれについて、順番に解説していきます。
1.全般性アプローチ
注意機能全般に対するアプローチの目標は、課題に集中できる作業時間を延ばし、ミスを1つでも減らすことです。
難易度設定には注意し、取り組みやすい課題からはじめて徐々に難しくしていきます。
使用する課題は、パズルやボードゲーム、計算ドリルといった身近なもので構いません。
完成度が目に見えて分かり、課題に取り組む中で達成感が得られやすいものがお薦めです。
2.特異的アプローチ
特異的アプローチ手法の1つとして、ATP(Attention Process Training )があります。
ATPは、個々の注意障害に対して個々の課題を実施しながら注意機能全体の改善を目標としたプログラムであり、以下の訓練項目が含まれます。
注意の種類 | 課題の内容 |
持続性注意 | 1.number cancellation(末梢課題:数字、図形) 2.attention tape(聴覚刺激を与え、ボタンで反応) 3.serial numbers(連続7減算、6減1増を繰り返す) |
選択性注意 | 1.shape cancellation with distractor overlay 2.number cancellation with distractor overlay 3.attention tape with background noise →視覚的・聴覚的妨害刺激を与えながら行う末梢課題 |
転換性注意 | 1.flexible shape cancellation 2.flexible number cancellation 3.odd and even number identification 4.addition subtraction flexiblity 5.set dependent activity →ターゲットを課題途中で変更させながら行う末梢課題 |
配分性注意 | 1.dual tape and cancellation task 2.card sort →テープを聞きながら末梢課題を行う(二重課題) |
まず注意の4特性ごとに障害の程度を評価し、正答率が50%前後の課題を選択し訓練課題として用います。
訓練は1週間に4~5セッションで、4~10週間行います。
治療の原則に基づき、同一課題を繰り返し行い徐々に難しい課題へと移行していきます。
3.動作課題
ADLやIADLの練習では、動作の目標を対象者の方と一緒に設定し、段階付けを行いながら繰り返し練習します。
例えば、

車椅子からベッドに自分で移れるようになりたいなぁ
という対象者の方の希望に沿って、目標を設定したとします。
例えば以下のような順序を設定し、動作課題に繰り返し取り組むとします。
- 車いすをベッド横に着ける
- 両側のブレーキをしっかりかける
- フットレストから足を下ろす
- ベッド柵や車いすのアームレストをしっかり掴む
- しっかり立ち上がった後、方向転換をしてベッドに移る
難易度の設定としては、最初は見守りつつ口頭指示で次の動作を確認しながら、安全に行いましょう。
そしてある程度練習し慣れてきたら、徐々に口頭指示を減らし、対象者の方自身で行うことが出来るように働きかけましょう。
1つ1つの動作に取り組みに対して適宜フィードバックを行い、課題に集中して取り組めるように配慮することも大切です。
4.環境調整
注意が散漫しないためには、環境調整が非常に重要です。
環境調整には、「物理的環境調整」と「人的環境調整」の2つがあります。
- 静かな環境で1人で取り組めるように配慮する
- 騒音などの聴覚的妨害刺激も極力避けるようにする
- 障害物のないバリアフリーな環境に調整する
- 医療福祉従事者やご家族に対し、障害による影響を説明し、理解を促す
- ご家族に対し、自主練習のサポート役を依頼する
- 部屋の整理整頓など、日常生活における支援・監督を依頼する
高齢者の場合は、注意障害によって転倒リスクも高まるため、段差や通路のモノを少なくする必要があります。
さいごに
本記事では、『注意障害のリハビリ』をテーマに、
- リハビリを行う上での大原則
- 主な治療目的
- 注意障害に対するアプローチ4選
の3項目について解説しました。いかがでしたでしょうか。
本記事を、今後の生活に役立てていただければ幸いです。
コメント