HDS-Rの評価と結果の解釈について【作業療法士が解説します】

こんにちは、カピまるです。

今回は、『HDS-Rの評価と結果の解釈』について解説します。

カピまる
カピまる

他の認知機能検査と何がちがうの?

N君
N君

各検査項目について、くわしく知りたいです!

本記事では、

  • HDS-Rの概要
  • 検査の特徴
  • HDS-Rのカットオフ値
  • 実施上の注意点
  • 結果の解釈

の5項目についてまとめていきます。

  • HDS-Rの臨床での使用を検討している方
  • 検査の概要について復習し直したい方
  • 検査で失敗しないため、要点を確認したい方

上記に該当する方は、ぜひ最後までご覧いただき、今後の学習に役立てて下さい。

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HDS-Rの概要

HDS-R( Hasegawa Dementia Scale-Revised )は、1974年に認知症を判定する尺度として開発されました。

かつては「長谷川式簡易知能評価スケール」という名称でしたが、質問項目や採点基準等が見直され、現在では「長谷川式認知症スケール」という名称で使用されています。

HDS-Rは、MMSEと同様、簡易的に様々な認知機能を幅広く検査出来るスクリーニングとして国内で広く使用されています。

HDS-Rは9つの質問から構成されており、主な検査項目は以下のとおりです。

  • 年齢
  • 見当識(時間・場所)
  • 即時記憶
  • 計算
  • 数字の逆唱
  • 遅延再生
  • 物品記銘
  • 言語流暢性

HDS-Rを行う際は、事前に以下の物品を準備しておきましょう。

  • HDS-R評価用紙
  • 筆記用具(検者用)
  • 5つの道具(質問8で使用。時計・鍵・ペン・ハサミ・硬貨・歯ブラシ等)

※「5つの道具」のうち、タバコは別の物で代用可能です。

HDS-Rの特徴

HDS-Rの特徴は、主に以下の5点です。

  • 国内で広く使用されており、検査の妥当性が高い
  • 誰しもが簡単に実施できる
  • 5~10分程で行えるため、検査にかかる負担が比較的少ない
  • 見当識や記憶に関する項目中心に構成されている
  • すべて言語で回答をもとめる、言語課題である

誰しもが簡単に実施できる

HDS-Rは、MMSEと同様に誰でも簡単に行える内容となっています。

そのため、スクリーニング検査として国内で幅広く使用されています。

検査は難しいものではないので、医療従事者以外の方でも手軽に使用できます。

◎検査にかかる負担が比較的少ない

特に高齢者の方に対して検査を行う際は、心身の疲れを考慮することが非常に重要です。

検査が長いことで疲れてしまうと、集中力が下がってしまい、結果に悪影響が及ぶおそれがあります。

HDS-Rは、10分~15分程度で完了するため、比較的負担が少ない検査と言えます。

◎MMSEとHDS-Rのちがい

MMSEとHDS-Rとのちがいは、大きく以下の2点です。

  • 検査項目
  • 回答方法

MMSEとHDS-Rは、どちらもスクリーニング検査として広く使用されています。

中でもHDS-Rは、認知機能のうち、見当識や記憶に関する項目中心に構成されています。

また、回答をすべて言語で行う言語課題でもあります。

これは、MMSEと比べて大きく異なるポイントです。

臨床場面では、MMSEとHDS-Rを併せて検査することが多いです。

しかし、短時間で認知機能面を中心に検査を行いたいという場合には、HDS-Rのみ行うのがおススメです。

どちらも実施頻度が高い検査なので、大まかな概要や手技について、今一度確認しておきましょう。

HDS-Rのカットオフ値

HDS-Rは、30点満点中

  • 21点以上⇒「健常」
  • 20点以下⇒「認知症の疑いあり」

と定めています。

HDS-Rはあくまでスクリーニング検査であり、重症度分類を行うための検査ではありません。

※参考までに、重症度分類を行った際の研究では以下のように報告されています。

  • 非認知症群    :24.27 ± 3.91点
  • 軽度認知症群   :19.10 ± 5.04点
  • 中等度認知症群  :15.43 ± 3.68点
  • やや高度認知症群 :10.73 ± 5.40点
  • 非常に高度認知症群: 4.04 ± 2.62点

カットオフ値である21点以上であっても、軽度認知症と診断される点には注意が必要です。

先ほども述べましたが、HDS-Rには記憶に関する項目が多く含まれています。

記憶に関連する機能のうち、保たれている部分と低下している部分を知ることこそ、スクリーニング検査の大きな役割です。

総得点だけに注目するのではなく、各項目ごとの結果を深堀りしていくことが非常に重要です。

実施上の注意点

検査を正確に実施するための注意点は、以下のとおりです。

  • 体調が良い時に実施する
  • 個室や人通りが少ない場所など、静かで集中できる環境の中で実施する
  • 質問は評価用紙記載内容に沿って行う。勝手なアレンジは厳禁
  • 被験者の耳が遠い場合、事前にどの程度聞き取れるか確認する
  • 10秒経っても答えが出ない時は打ち切り、次の質問にうつる
  • 失語症の疑いがある場合、問8, 9を実施し、検査が行えるかどうか確認する

◎静かで集中できる環境を設定する

認知機能の低下が見られる方は、周囲の音やモノの動きに注意がうつりやすく集中出来ないことがあるため、環境面への配慮は不可欠です。

また言語課題ということもあって、騒がしい環境の中では検者の声が届きにくくなったり、何度も繰り返し質問をしなければ理解してもらえないこと等も考えられます。

検査を正確に行うためにも、なるべく個室で検査を行うようにしましょう。

◎だらだらと検査を続けない

特に注意が必要なのは、だらだら検査を続けずにマニュアル通りの実施を厳守することです。

10秒経っても答えが出ない時は打ち切り、次の質問にうつるようにしましょう。

HDS-Rでは、特に野菜の名前を挙げる検査(言語流暢性)の際に、

N君
N君

もう少し考えれば思い出せるかも…

といって粘ってしまう被験者の方や、

N君
N君

もう少し時間をあげれば点数上がるかもなぁ…

といって検査を続けてしまう検査者の方が多くいます。

気持ちは分かりますが、正確に検査を行うためにもマニュアル通りの実施を心掛けましょう。

不快感を与えてしまう可能性もある!?

こうした認知機能検査の対象となるのは、多くが高齢者の方です。

少し言い方を悪くすると、「自分よりも年下の若造からまるで馬鹿にするかのような質問をいくつもされ、答えられなければ恥をかかされる検査」です。

知らない人に良く分からない場所に連れていかれ、不安やストレスも感じることでしょう。

人によっては、不快に感じてもおかしくありません。

◎マイナスな側面を知り、適切に対処することが重要

検査を行う立場としては、こうしたマイナスな側面についてを知ることが重要です。

そしてそのマイナスな側面に対し、適切に対処する必要があります。

検査を実施する際には、被験者の方とある程度打ち解けて警戒心を解いてから行いましょう。

そしてさらに、

  • 「この施設を利用されている方皆さんにお願いをしています」
  • 「答えられる範囲でいいので気軽に回答してください」
  • 「○○さんにとって簡単すぎる、不快に感じられる質問があるかもしれませんがご容赦下さい」

といったように、事前にしっかりとことわりを入れておきましょう。

認知機能検査は、経過観察の過程で人によっては何度も受ける可能性があります。

その都度気分よく検査を受けてもらえるように、被験者の方への配慮を欠かさないようにしましょう。

結果の解釈

HDS-Rでは、記憶に関する項目の配点が高くなっています。

そのため、アルツハイマー型認知症の鑑別において有用であると考えられています。

特に遅延再生(質問4, 7)や言語流暢性(質問9)の項目で減点が大きくなる傾向があります。

また、5つの物品記銘(質問8)のような視覚的な即時記憶と遅延再生(質問4, 7)のような聴覚的な即時記憶とでは、感覚様式が異なります。

どの感覚様式における記憶機能が低下しているか判断し、適切な支援や介入へと繋げる意識を持つようにしましょう。

  • HDS-Rには、視空間的な認知機能に対する評価や日常生活動作に関連する動作性機能に対する評価が含まれない。
  • より詳細な評価を行いたい場合には、別の検査と併用することが推奨される。

さいごに

本記事では、『HDS-Rの評価と結果の解釈』をテーマに、

  • HDS-Rの概要
  • 検査の特徴
  • HDS-Rのカットオフ値
  • 実施上の注意点
  • 結果の解釈

の5項目について解説しました。いかがでしたでしょうか。

MMSE同様に、誰もが簡単に実施出来るスクリーニング検査として広く使用されている一方で、正確に行う上で注意すべきポイントや解釈のコツがいくつかあります。

本記事を、知識の整理と今後の学習に役立てていただければ幸いです。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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