認知機能に対する評価について勉強したいな!
今回は絶対に知っておかないとマズイ、重要な評価スケールについて解説するよ!
わが国のような超高齢社会においては、「認知症」は大きな社会的課題となりつつあります。
医療従事者のみならず、一般の方が認知症の方と接する機会も非常に多くなったのではないでしょうか。
その人らしく生きるためには、こうした認知機能に対して正しく理解し、適切な支援を行うことが大切です。
そこで今回は、認知機能に対する主要な評価スケールである『MMSE』について解説します。
- MMSEの概要について学びたい!
- 検査の要点について復習したい!
- 臨床場面での使用を検討している!
上記のような方は、ぜひ参考にしていただき、今後の学習に役立ててください!
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MMSEの基礎知識
MMSEは、「Mini-Mental State Examination」の略称です。
高次脳機能全般に対して使用できるスクリーニング検査であり、世界中で最も広く使用されています。
主な検査項目
MMSEにおける検査項目は、以下のとおりです。
- 見当識(時間・場所)
- 復唱
- 計算
- 再生
- 呼称
- 言語指示
- 書字
- 図形模写
検査に必要な物品一覧
MMSEを行う際は、事前に以下の物品を準備しておきましょう。
- 評価用紙
- 筆記用具、消しゴム(被験者用・検者用)
- 時計、鍵
- A4用紙1枚(口頭指示で使用)
検査の特徴
MMSEの特徴は、以下のとおりです。
- 世界中で最も広く使用されている
- 誰でも簡単に行える
- 約10分~15分程で検査できる
- 検査にかかる負担が比較的少ない
- 長谷川式認知症スケール(HDS-R)との関連性が示されている
MMSEは、『スクリーニング検査』であることから、
- 誰でも簡単に実施できる
- 検査にかかる負担が比較的少ない
といった特徴があります。
検査において評価項目や質問数が多くなると、実施時間や負担の増加が懸念されます。
その点MMSEは、スクリーニングとして手軽に検査出来るため、臨床場面で幅広く使用されています。
MMSEのカットオフ値
MMSEのカットオフ値は、以下のように定められています。
- 23点以下 ⇒ 認知障害あり(認知症の疑い)
- 24点~27点 ⇒ 軽度認知障害(MCI)の疑いあり
- 28点以上 ⇒ 健康
カットオフ値以上≠認知症⁉
検査の結果、カットオフ値以上だね!認知症の心配はなしっと・・・
ちょっと待った!!!その理解だとマズイよ!!
検査の結果、カットオフ値以上であったとしても注意が必要です。
先に説明したとおり、24点以上でも「軽度認知障害(MCI)」と診断される可能性があります。
MMSEは、あくまでスクリーニング検査であり、「認知機能が保たれている」と確定する検査ではありません。
このことについては、しっかり理解をしておきましょう。
大切なのは各項目ごとの結果!
MMSEのようなスクリーニング検査では、総得点のほかに、各項目ごとの結果を深堀りすることが大切です。
- どの項目で減点が多く見られたか
- 実施時の様子はどうだったか(例:注意散漫、時間がかかる、理解や判断の程度)
あくまでMMSEはスクリーニング手法であり、詳細な認知機能検査というわけではありません。
さらにもう1歩踏み込んだ解釈を行うよう、意識することが大切です。
実施上の注意点
検査を行う際の注意点として、以下の5つを押さえておきましょう。
- 体調が良い時に行う
- 静かで集中できる環境の中で実施する
- 勝手なアレンジを加えない
- 正解につながるヒントは与えない
- 10秒経ったら打ち切り、次の質問にうつる
このうち、一部抜粋して解説していきます。
静かで集中できる環境を設定する
認知機能の低下が見られる方は、周りの音や人通りによって注意が散漫しやすいです。
そのため、実施環境への配慮は不可欠です。
なるべく個室を使用し、1対1の静かな環境で行うようにしましょう。
勝手なアレンジを加えない
検査の実施に慣れてくると、
- 被験者に対する質問の仕方
- 採点の仕方
に対して、自分で勝手なアレンジを加えてしまうことが懸念されます。
正誤の基準や質問方法については、評価用紙に記載がきちんとされていますので、必ずそれに沿った実施を行いましょう。
だらだらと検査を続けない
特に注意が必要なのは、「だらだらと検査を続けない」ことです。
一定時間答えられなければ、すぐに打ち切り次の質問にうつることが重要です。
もう少し時間をかければ答えそう・・
そうした思いでくり返し質問をし、相手が答えるまで粘ろうとする方も少なくありません。
決まった時間で必ず検査を打ち切り、マニュアルに沿った正しい実施を心掛けましょう。
さいごに
本記事では、認知機能に対する主要な評価スケール『MMSE』について解説しました。
誰もが簡単に実施できるスクリーニング検査である一方、
- 検査の概要
- 結果の解釈の仕方
- 実施上の注意点
など、知っておくべきポイントがいくつもあります。
臨床などで実施する前には、今一度復習しておくことをおススメします。
以下の記事では、認知機能に対するその他の評価スケールについて解説しています。
今回は以上です。最後までご覧いただき、ありがとうございました。