
実習のレポートってどう書くの?
上手くまとめられるかなぁ。。

そんなN君のために、レポートの
書き方の基本について解説するよ!
作業療法臨床自習において、大きなウェイトを占めているのがレポート作成です。
実習に向けて専門知識や手技について沢山学びますが、一方で、レポートの書き方について学ぶ機会というのは、残念ながらほとんどありません。
- いざ書こうと思っても進まない
- 何から書けばいいか分からない
- 書くのに時間がかかり過ぎてしまう
こうしたお悩みをお持ちの方も、少なからずいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで今回は、「作業療法臨床実習レポートの書き方」テーマに解説していきます。
これからご紹介する書き方のポイントは、
- 臨床実習Ⅰ(基礎学実習)
- 臨床実習Ⅱ(評価学実習)
- 臨床実習Ⅲ(総合実習)
といった、どの実習でも活用できる内容となっています。
- レポートを作成するコツを知りたい!
- 基本的な構成について知りたい!
- これから実習を控えている!
上記に該当する方は、ぜひ最後までご覧いただき、今後の参考にしてください!
要確認!作成する際のルール

レポートを書き始める前に、作成する際のルールについて確認しておきましょう。
書式について
レポートの書式についてのルールは、以下のとおりです。
- 用紙…一般的にA4サイズ(場合によってはA3)
- 枚数…特に決まりはない(多すぎはNG)
- 印刷…片面・両面どちらでも◎
レポートは、A4サイズで作成するのが一般的です。
症例報告を行う際など、場合によってはA3サイズで作成することもあります。
枚数が多すぎる場合、「まとまっていない」と判断されかねないので注意が必要です。
記載方法について
レポートの記載方法についてのルールは、以下のとおりです。
- 字体…MSゴシック、MS明朝
- 文体…「である調」「ですます調」に統一する
- 文章…主語と述語は明確に。一文が長くなり過ぎないように。
- 漢字…常用漢字を使用する
- 仮名…現代仮名遣いを使用する
- 句読点…文全体を見て、バランスよく配置する
- 見出し…大項目「Ⅰ、Ⅱ」中項目「(1)、(2)」小項目「a、b」など
この中で気を付ける必要があるのは、「文体」と「文章の長さ」です。
レポートは相手に読んでもらう必要があるので、「読みやすい」「理解しやすい」文章を書くことが大切です。
一文が長くなりそうなときは、以下のように
- 大項目…ローマ数字(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ)
- 中項目…アラビア数字(1、2、3)
- 小項目…アラビア数字+カッコ書き((1)、(2)、(3))
- その他…アルファベット(a、b、c)や数字(①、②、③)
といった見出し表記で、小項目に分けて記載することがおススメです。
記載すべき項目12選

では次に、レポートに記載すべき項目について解説していきます。

基本的なルールは理解できたけど、
具体的にはどう書くんだろう・・?

記載する項目は決まっていて、
型に沿って書くことが大切だよ!
レポートを作成する際には、以下の項目に沿って書きすすめることが大切です。
- はじめに(タイトル+要約文)
- 症例プロフィール
- 医学的情報
- 社会的情報
- 他部門からの情報
- 作業療法評価
- ICFによる整理
- 統合と解釈
- 目標設定、治療計画立案
- 治療経過(中期評価、最終評価)
- 考察、まとめ
- 参考文献
各項目について、詳しく解説していきます。
はじめに(タイトル+要約文)
ここでは、『どのようなケースを報告しようとしているか』をまとめます
レポート全体で言いたいこととして、タイトルと要約文を記載する必要があります。
具体的には、
- どのような障がいを持つのか
- 病前はどのような生活をされていたか
- 何に対して介入を行ったのか
といったことを踏まえながら、介入の目的や動機を簡潔にまとめます。
症例プロフィール
症例プロフィールでは、主に
- 氏名
- 性別
- 年齢
- 利き手
- 婚姻の有無
といった内容について記載します。
ここで注意しなければいけないのは、「人物が特定されない」ように配慮することです。
氏名は「伏せ字」もしくは「イニシャル表記」にしましょう。
年齢については、『○○代』までで構いません(具体的に「○○歳」としなくてOK)。
医学的情報
医学的情報では、主に
- 診断名
- 障がい名
- 合併症
- 現病歴
- 既往歴
といった内容について記載します。
症例プロフィールと同様に、「人物が特定されない」ように配慮することに注意しましょう。
ある時点(生まれた年など)をX年とし、「X+○○年」と表記しましょう。
障がい名などは略語を使わず、正式な医学用語で記載しましょう。
社会的情報
社会的情報では、主に
- 家族歴
- 家族構成
- キーパーソン
- 生活歴
- 家屋環境
- 経済状況
- 保険の有無
- その他個人因子(趣味、興味など)
といった内容について記載します。
こうした情報は、退院・転院を検討する際に必要な情報となります。
他職種の方も参考にする項目ですので、できるかぎり正確に記載しましょう。
他部門からの情報
情報収集を行う必要があるのは、主に
- 医師:予後予測、リスク管理など
- 看護師:1日の生活状況
- 理学療法士:歩行機能
- 言語聴覚士:摂食・嚥下機能
- ソーシャルワーカー:今後の転院先など
などが挙げられます。
必要な情報を、簡潔にまとめるように心がけましょう。
作業療法評価
カルテや他職種から情報収集を行い、必要な評価をピックアップして行います。
作業療法評価の例としては、
- 面接、観察、問診
- ROM
- MMT
- ブルンストローム
- 感覚検査
- 筋緊張検査
- 反射検査
- バイタルサインの測定方法
- 協調性検査
- 高次脳機能検査
- 上肢機能検査
- ADL評価
などが挙げられます。
中には患者さんの負担が大きい評価も含まれるため、必要なもののみ実施しましょう。
ICFによる情報整理
ICF(国際生活機能分類)は、「生活機能と障害に関する分類法」です。
以下の図のように、
- 健康状態
- 心身機能・身体構造(機能障害)
- 活動(活動制限)
- 参加(参加制限)
- 環境因子(阻害因子)
- 個人因子
の5つから構成されています。

図で整理して視覚化することによって、問題点や介入のポイントを明確にすることができます。
統合と解釈
「統合と解釈」とは、
- 面接で聞き取った患者さんの訴え
- 観察で明らかになったADL動作の問題点
- 作業療法評価の結果
これらを結び付けて、その後の目標設定やプログラム立案を行う過程のことです。
最も重要な過程の1つであり、実習中に1番時間と労力をかけて取り組む部分でもあります。
目標設定、治療計画立案
目標設定をする際は、
- 長期目標…希望に限りなく近いもの
- 中期目標…退院日に達成できるもの
- 短期目標…確実に達成できるもの
といったように、細分化して設定することがとても大切です。
短期目標が達成できてないのに中期・長期目標が達成できることはありません。
しっかりとした目標が立てば、おのずと治療プログラムも具体的なものとなるはずです。
治療経過(中期評価、最終評価)
治療プログラムを行った場合、結果の振り返りを行いましょう。
具体的には、
- 患者さんの変化(心理面、身体面)
- セラピストの関わり方の変化
- 患者さんとセラピストの関係性の変化
といったように、自分が介入を行ったことで生じた客観的な変化の事実を記載します。
考察、まとめ
ここでは、治療プログラムやその結果に対し、検討した自分の意見について記載します。
介入の根拠を示すために、参考文献をいくつか示すことも大切です。
まとめの際は、結語は未来に向けての課題などを書いても構いません。
さいごに
本記事では、「作業療法臨床実習レポートの書き方」テーマに解説しました。
今回ご紹介したポイントは、
- 臨床実習Ⅰ(基礎学実習)
- 臨床実習Ⅱ(評価学実習)
- 臨床実習Ⅲ(総合実習)
といった、さまざまな実習で活用できる内容となっています。
少しでも効率よく実習を進められるよう、ぜひ本記事を参考にしていただければ幸いです。
また以下の記事では、レポート作成に役立つ「SOAP」という手法について解説していますので、併せてご覧ください↓↓

今回は以上になります。最後までご覧いただき、ありがとうございました。