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なぜ暑い日のランニングは過酷なのか | 脳と体が限界を迎える理由と対策について

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なぜ暑い日のランニングは過酷なのか | 脳と体が限界を迎える理由と対策について
かぴまる

冬のトレーニングで楽だったメニューも、夏だとキツくて全然できなくなることあるよね?あれってどうしてなの?

今回は、こうした疑問に答えます。

本記事の内容
  • マラソンに最適な温度とは
  • 暑さでパフォーマンスが低下するメカニズム
  • 暑い日のランニング実践対策

こんにちは、かぴまるです。

僕自身も月間350kmほど、サブ40(フルマラソン2時間40分切り)を目標にランニングを楽しんでいます。

夏場や日差しの強い季節にランニングをしていて、

いつも通りのペースなのに、息が上がって苦しい・・

カラダが重くて、思うように走れない・・

・・と感じたことはありませんか?

多くのランナーが実感している通り、暑さは長距離走における最大の敵の一つです。

最新のスポーツ科学研究では、暑さが「心臓や筋肉(カラダ)」だけでなく、「脳(中枢神経系)」にまで大きなストレスを与え、無意識のうちに人体の運動能力にブレーキをかけていることが明らかになっています。

その論文がこちら↓

本記事では、この論文をもとに、暑い環境下で人間の身体と脳に何が起きているのか、そして科学的に有効な対策について分かりやすく解説します。

この記事を書いた人

<プロフィール>

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目次

マラソンに最適な気温は、『10〜12℃』

マラソンに最適な気温は、10~12℃

長距離走やマラソンにおいて、ヒトが最高のパフォーマンスを発揮できる理想的な環境気温は、

10〜12℃前後

とされています。

かぴまる

少し肌寒いくらいの気温が、運動するにはベストコンディションってことなんだね!

気温が上がるとタイムは確実に低下する

過去の数多くのマラソン大会データや実験結果から、気温や湿度の上昇に伴ってレースの完走タイムが段階的に遅くなることが示されています。

特に注目すべき点として、以下の傾向が分かっています。

  • サブ3〜4等の一般ランナーほど影響を受けやすい
  • エリートランナーでも影響を受ける

市民ランナーの層では、気温が上がることでペースダウンを起こす割合が非常に高くなります。

ただし、たとえエリートランナーであっても、暑さによるパフォーマンス低下を免れることはできません。

ですが、レース序盤から戦略的にペースを抑えて一定の速度を維持しようとするなど、うまく暑さに対応しているという特徴があります。

『理論上は3時間20分切り×』でも、トップ選手が走れるワケ

1996年のアトランタオリンピック前、あるスポーツ生理学者が熱収支の計算式を用いて試算を行いました。

その結果、「気温35℃・湿度80%という過酷な環境下では、体温の上昇が激しすぎるため、人間がマラソンを3時間20分以内で完走することは不可能である」という衝撃的な計算結果が発表されました。

しかし実際のレースでは、男子の優勝タイムは2時間12分36秒、女子も2時間26分05秒という好記録。

物理的な計算を覆して、トップ選手たちが過酷な条件でも走り切れたワケは何だったか。主な要因は以下の2つです。

過酷な条件でもトップ選手が走れるワケ

  • 小柄な体型による高い放熱効率
  • ランニングエコノミー(走りの効率)の高さ

それぞれ順番に見ていきましょう。

①:小柄な体型による高い放熱効率

マラソン界を席巻する東アフリカ系選手などをはじめ、トップランナーの多くは非常に小柄で体重が軽いという特徴があります。

体重が軽いと、体積に対する体表面積の割合(体表面積/体積比)が高くなります。

つまり、『体内で生まれる熱の量』に対して『皮膚から外へ熱を逃がせる面積』が広いため、体温が上がりづらく放熱効率に優れているのです。

②:ランニングエコノミー(走りの効率)の高さ

同じスピードで走っても、走りのフォームや筋効率が良いランナー(ランニングエコノミーが高いランナー)は、消費する酸素量やエネルギーが少なくなります。

運動で消費されるエネルギーの大部分は体熱へと変わるため、走りの効率が良い選手ほど体内で発生する余分な熱そのものを抑えることができます。

暑さでパフォーマンスが落ちる2つのメカニズム

暑さでパフォーマンスが落ちる2つのメカニズム

暑い日のランニングで限界が訪れる背景には、

①:カラダの問題(心臓や水分)

②:脳の問題(中枢神経)

という2つのメカニズムが存在します。

①:カラダの問題

私たちが運動するとき、代謝によって発生するエネルギーの約75〜80%は「熱」に変換されます。

カラダはこの熱を逃がすために「汗」をかきます。

汗が皮膚表面で蒸発する際、1リットルあたり約580kcalもの熱を奪ってくれるため、発汗は非常に強力な冷却システムです。

しかし、ここに落とし穴があります。

  • 血液量の減少(脱水)
  • 血流の奪い合い
  • 心臓への負担増加

1.血液量の減少(脱水)

汗の原料は、血液(血漿)です。

大量に汗をかくと血液中の水分が減り、循環する血液の量が少なくなります。

2.血流の奪い合い

カラダが熱を帯びた際、

『深部の熱を皮膚に運んで冷やしたい(皮膚血流の増加)』

『動いている筋肉に酸素を届けたい(筋肉血流の維持)』

といった考えがカラダの中で生じます。

血流が減少した状態でこの2つを両立するのは難しいので、血流の奪い合いが生じます。

3.心臓への負担増大

血液量が減っているにもかかわらず、皮膚と筋肉の両方に血液を送らなければならないため、一回の脈拍で送り出せる血流量(一回拍出量)が低下します。

それを補うためには、心拍数が急上昇が必要となります。

しかし最終的には、筋肉や皮膚への血流自体が維持できなくなって限界(疲労)を迎えます。

さらに高湿度の環境では、汗をかいても蒸発しにくくなるため、『水分だけが失われて体温が全く下がらない』という危険な状態に陥ります。

②:脳の問題

長年、運動時の疲労は「筋肉に乳酸が溜まる」「水分やエネルギー(グリコーゲン)が底をつく」といった末梢組織(体)の問題だと考えられてきました。

しかし近年では、「脳が人体の壊れるのを防ぐためにブレーキをかけている」という視点が重視されています。

暑い環境で走り続けると、脳内では以下のような現象が起こります。

脳内で生じる3つの変化

  • 脳の温度上昇、血流低下
  • 神経伝達物質の変調
  • 血液脳関門(BBB)の機能低下

それぞれ順番に見ていきましょう。

1.脳の温度上昇、血流低下

過酷な熱環境下では、脳自体の温度が深部体温以上に急上昇します。

さらに、体内の血液配分が変わることで、脳へ送られる血流量が減少することが確認されています。

2.神経伝達物質の変調

脳内で意欲や運動指令を司るドーパミンやセロトニンといった神経伝達物質のバランスが変化します。

これによって、まだ筋肉自体に動く余力があったとしても、「強烈な疲労感」や「不快感」を生み出して意図的に運動強度を下げさせようとします。

3.血液脳関門(BBB)の機能低下

高体温と過度の脱水が重なると、有害物質から脳を守るガードシステムである「血液脳関門」の透過性が高まってしまい、脳環境にストレスがかかることが報告されています。

つまり、暑い日の「もう走れない」という感覚は、単なる精神的な弱さや筋肉の疲労ではなく、危険な体温上昇からカラダを守るための脳のブレーキなのです。

暑い日のランニング実践対策

暑い日のランニング実践対策

こうした熱ストレスから身体と脳を守り、安全かつ効果的にランニングを楽しむための対策として、以下の3つを紹介します。

暑い日のランニング実践対策

  • 水分補給は冷たいモノを選ぶ
  • こまめな水分・塩分補給を意識する
  • 目標ペースをあらかじめ落とす

それぞれ順番に見ていきましょう。

①:水分補給は冷たいモノを選ぶ

運動中の水分補給は脱水を防ぐために必須ですが、その「温度」にもこだわりましょう

論文によると、常温の水よりも冷たい飲料を摂取することで、体内から直接熱を奪う「ヒートシンク(吸熱材)」として機能し、深部体温の上昇速度を遅らせられることが分かっています。

これによって、運動継続時間が伸び、脳にかかる熱ストレスを軽減できます。

②:こまめな水分・塩分補給を意識する

脱水が進行すると、血液量が減って心拍数が上がりやすくなるだけでなく、前述したように脳の保護膜(血液脳関門)の機能にも悪影響が及びます

喉が渇く前にこまめに水分を補給すること、そして汗とともに失われる電解質(塩分など)を同時に補給することで、血液の浸透圧を保ち、脳と心血管系への負担を大幅に減らせます。

③:目標ペースをあらかじめ落とす

気温が高い日は、冬場と同じ目標ペースで走ろうとすること自体が科学的に無理を生みます

脳は体温が上がりすぎるリスクを察知すると、レース序盤であっても無意識にペーシング(減速)を始めようとします。

暑い日は「自分の意志で最初からペースを5〜10%落として入る」ことが、後半の大失速や熱中症のリスクを防ぐ最も賢明なアプローチです。

まとめ:

まとめ

暑い環境でのランニングについて、もう一度おさらいしておきましょう。

本記事のポイントまとめ

  • マラソンの最適温度は、10~12℃くらい
  • 気温・湿度が上昇すると、パフォーマンスは低下する
  • 体重が軽い・ランニングエコノミーが優れた選手は暑さに強い
  • 暑さによるバテは、心臓と脳への負担増加が原因
  • 冷たい飲料補給、こまめな水分・塩分補給、ペース設定が重要

暑い季節のランニングは、無理に記録を狙うのではなく、自分の身体と脳から発せられるシグナルに耳を傾けることが大切です。

本記事で紹介した科学的なメカニズムを理解したうえで適切な対策を取り、安全にトレーニングを続けていきましょう!

今回は以上です。最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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