ADL機能に対する評価について勉強したいな!
今回は「老研式活動能力指標」について解説していくよ!
リハビリテーション分野では、障害をかかえながら環境に適応することが大きな目標の1つとなります。
そのためには、生活課題と呼ばれる、
- 身辺活動
- 移動
- コミュニケーション
- 家事
- 地域生活
といった日常生活活動(ADL)を評価することは、重要な意味を持ちます。
そこで今回は、こうしたADL機能に対する評価スケール「老研式活動能力指標」について解説していきます。
ADL機能に対する評価というと、
- FIM
- Barthel Index
が主要な評価ですが、その他の評価スケールについて勉強して損はありません。
本記事を一通り読めば、検査の概要について誰でも理解できるはずです!
- ADL機能に対する評価方法を知りたい!
- 「老研式活動能力指標」の概要について勉強したい!
- 臨床場面での実施を検討している!
上記のような方は、ぜひ参考にしていただき、今後の学習に役立ててください!
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老研式活動能力指標の基礎知識
「老健式活動能力指標」は、東京都老人総合研究所で開発されました。
この検査では主に、地域に暮らす高齢者の生活機能を測定する際に使用されています。
主な検査項目
老研式活動能力指標は、以下の13項目から構成されます。
No | 質問内容 | 得点 1 | 得点 0 |
---|---|---|---|
1 | バスや電車を使って1人で外出できますか | はい | いいえ |
2 | 日用品の買い物ができますか | はい | いいえ |
3 | 自分で食事の用意ができますか | はい | いいえ |
4 | 請求書の支払いができますか | はい | いいえ |
5 | 銀行預金・郵便貯金の出し入れが自分でできますか | はい | いいえ |
6 | 年金などの書類が書けますか | はい | いいえ |
7 | 新聞を読んでいますか | はい | いいえ |
8 | 本や雑誌を読んでいますか | はい | いいえ |
9 | 健康についての記事や番組に関心がありますか | はい | いいえ |
10 | 友達の家を訪ねることがありますか | はい | いいえ |
11 | 家族や友達の相談に乗ることがありますか | はい | いいえ |
12 | 病人を見舞うことができますか | はい | いいえ |
13 | 若い人に自分から話しかけることがありますか | はい | いいえ |
これら13項目は、以下の3領域に分類することができます。
- 手段的自立(5項目)
- 知的能動性(4項目)
- 社会的役割(4項目)
それぞれの領域について、順番に解説していきます。
手段的自立(5項目)
「手段的自立」に該当する項目は、以下のとおりです。
- バスや電車を使って1人で外出できますか
- 日用品の買い物ができますか
- 自分で食事の用意ができますか
- 請求書の支払いができますか
- 銀行預金・郵便貯金の出し入れが自分でできますか
項目によっては、
バスや電車は通ってないなぁ
食事の準備は奥さんがするから、自分は全くしていないなぁ。
といったように、あまり馴染みのない活動が含まれている場合があります。
その場合は、「もし自分がやるとしたらできますか?」と聞き直すようにします。
『普段やっていない=できていない』ではないことに注意しましょう。
知的能動性(4項目)
「知的能動性」に該当する項目は、以下のとおりです。
- 年金などの書類が書けますか
- 新聞を読んでいますか
- 本や雑誌を読んでいますか
- 健康についての記事や番組に関心がありますか
「知的能動性」とは、現実の中で問いを見つけ、さまざまな方法で答えを見出していく学びの構えのことです。
この領域では、より高次の日常生活活動について評価を行います。
社会的役割(4項目)
「社会的役割」に該当する項目は、以下のとおりです。
- 友達の家を訪ねることがありますか
- 家族や友達の相談に乗ることがありますか
- 病人を見舞うことができますか
- 若い人に自分から話しかけることがありますか
地域の中で暮らす高齢者を対象とした評価であるため、人間関係にまつわる項目も含まれます。
評価の実施方法
老研式活動能力指標は、主に面接形式で「本人」もしくは「本人の生活状況を知る家族等」に対して行います。
評価は、1~13の質問項目に従って、質問内容に対する活動状況を
- はい(出来ている)
- いいえ(出来ていない)
の2択で聞き取りを行います。
高齢者を対象に作成されているため、質問は簡単で理解しやすく、容易に回答できます。
検査実施時の注意点
検査を行う際の注意点は、以下のとおりです。
- 知的機能の著しく低下した高齢者等は、評価の対象外
- 説明の追加、答えの誘導をしてはいけない
面接形式で行うため、ある程度の知的機能が保たれている必要があります。
認知症等を理由に知的機能が低下している場合は、検査の適応外となる場合もあります。
正確な評価を行うためにも、上記2点については注意しましょう。
結果の解釈について
老研式活動能力指標では、各項目「はい」もしくは「いいえ」で回答します。
総得点は13点、最低点は0点であり、点数が高いほど自立していることを示します。
また老研式活動能力指標の性別・年齢別得点は、以下のとおりです。
年齢 | 男性 | 女性 | 合計 |
---|---|---|---|
65~69歳 | 11.8±1.9 | 11.8±2.0 | 11.8±2.0 |
70~74歳 | 11.1±2.8 | 11.0±2.4 | 11.0±2.6 |
75~79歳 | 10.4±3.2 | 10.5±2.9 | 10.5±3.0 |
80歳~ | 8.7±4.2 | 7.6±4.2 | 8.0±4.2 |
合計 | 11.0±3.0 | 10.6±3.1 | 10.8±3.0 |
老研式活動能力指標では、明確なカットオフ値は設けられていません。
1つの目安として、10点を超えてくると生活機能が自立してきます。
さいごに
今回は、ADL機能に対する評価スケール「老研式活動能力指標」について解説しました。
リハビリテーション職員として関わる上で、日常生活活動(ADL)について評価を行うことは、極めて重要です。
使用する機会は少ない評価ですが、知っていて損はありませんので、今一度概要について整理しておきましょう。
以下の記事では、ADL機能に対するその他の評価スケールについて、くわしく解説しています。
今回は以上です。最後までご覧いただき、ありがとうございました。