意識レベルに関する評価って、どうやって行えばいいんだろう?
そんな時は「JCS」「GCS」という評価を使えばいいんだよ!
意識状態の評価は、対象者の方の全身状態を知るための1つの手がかりとなるものです。
これは、作業療法を実施するうえで、
- 全身状態の管理
- 環境の整備(転倒防止など)
といったリスク管理としての意味合いが大きいです。
治療の前後のみならず、治療中にも常に注意を払うよう、意識づけることが重要です。
そこで今回は、意識レベルの主要な評価スケール「JCS」「GCS」について解説します。
本記事を一通り読めば、評価の概要について十分理解できるはずです!
- 意識レベルに対する評価方法を知りたい!
- 「JCS」「GCS」の概要について勉強したい!
- 臨床場面での使用を検討している!
上記のような方は、ぜひ参考にしていただき、今後の学習に役立ててください!
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意識レベルに対する評価スケール
意識状態の評価として一般的に使用されているのは、以下の2つです。
- 日本昏睡尺度(Japan Coma Scale:JCS)
- グラスゴー昏睡尺度(Glasgow Coma Scale:GCS)
①:日本昏睡尺度(JCS)
日本昏睡尺度(JCS)は、主に日本で使用されている意識障害の深度分類です。
評価の特徴
評価の特徴は、以下のとおりです。
- 日本国内で幅広く使用されている
- 3-3-9度方式で評価を行う
- 数値が大きい=意識障害が重度である
- 短時間で評価できる
- 脳血管障害や頭部外傷、脳ヘルニア等の評価に優れている
- 精神状態の評価には適していない
JCSは、3-3-9度方式と呼ばれる方法で、対象者の意識レベルを評価します。
まずⅠ・Ⅱ・Ⅲのグレードに意識レベルを分け、それをさらに3段階に分類します。
JCSでは、数値が大きいほど意識障害が重度であることを意味しています。
Ⅰ.刺激しないでも覚醒している状態(1桁)
- 0:意識清明
- 1:だいたい意識清明だが、今一つはっきりしない
- 2:見当識障害がある
- 3:自分の名前、生年月日が言えない
Ⅱ.刺激すると覚醒する状態 – 刺激を止めると眠り込む(2桁)
- 10:普通の呼びかけで開眼。運動、言葉も出るが誤りが多い
- 20:大きな声または身体を揺さぶることで開眼する
- 30:痛み刺激を加えつつ、呼びかけをくり返すとかろうじて開眼する
Ⅲ.刺激しても覚醒しない状態(3桁)
- 100:痛み刺激に対し、払いのけるような動作をする
- 200:痛み刺激で少し手足を動かしたり、顔をしかめる
- 300:痛み刺激に反応しない
※ 注意点
- 不穏状態:R(restlessness)
- 失禁:I(incntinence)
- 無動性無言、失外套症候群:A(akinetic mutism)
(例:100-I、20-A)のように、上記の症状をあわせて記載する必要があります。
②:グラスゴー昏睡尺度(GCS)
グラスゴー昏睡尺度(GCS)は、国際的な評価指標として広く使用されています。
主に、急性期の外傷性脳障害による意識障害の評価を目的としています。
評価の特徴
評価の特徴は、以下のとおりです。
- 国際的に広く使用されている
- 救急外来や集中治療室等、限られた場所で使用される
- 数値が小さい=意識障害が重度である
- 短時間で評価できる
- 外傷性脳障害による意識障害の評価を目的としている
GCSでは、数値が小さいほど意識障害が重度であることを意味しています。
JCSとは反対になりますので、混同しないよう注意しましょう。
評価項目について
各評価項目については、以下表のとおりです。
E(開眼) | V(言語反応) | M(運動反応) |
---|---|---|
E4:自発的に開眼 | V5:時・場所・人が分かる | M6:命令に従う |
E3:言葉により開眼 | V4:混乱した会話 | M5:疼痛部に手足を動かす |
E2:痛み刺激により開眼 | V3:不適当な言葉 | M4:逃避行動 |
E1:反応なし | V2:理解不能な発生 | M3:異常屈曲反応 |
V1:反応なし | M2:異常伸展反応 | |
M1:反応なし |
表記の仕方としては、「E2、V3、M4:coma scale9」(=E+V+M)のように記載します。
※気管挿入・気管切開をして発生できない場合は、「E1VTM1」のように「VT」と記載します。
意識状態の種類
意識状態の評価は、その後の感覚・知覚検査の信頼性の基礎となるため、正しく評価を行うことが大切です。
検査を行うにあたって、意識障害の種類について今一度確認しておきましょう。
高度~中等度の意識混濁
種類 | 概要 |
---|---|
昏睡(coma) | 自発運動なし。尿便失禁あり。強い刺激でも運動反応がみられない。 腱反射や角膜反射も消失した場合を深昏睡(deep coma)という。 |
半昏睡(semicoma) | 皮膚を針で強く刺激すると運動反応がみられる。尿便失禁あり。 自発運動はほとんどない。腱反射や角膜反射はみられる。 |
昏迷(stupor) | 強い刺激に短時間は覚醒し、運動反応がみられる。 刺激を続けると、簡単な質問や指示に応じることがある。 尿便失禁は必ずしも伴わない。 |
傾眠(drowsiness) | 刺激によって覚醒し、質問への応答や動作を行う。 覚醒時における精神状態はほぼ正常、軽度に障害されている。 刺激がなくなると眠ってしまう。 |
軽度の意識混濁
種類 | 概要 |
---|---|
意識不鮮明(confusion) | 軽い意識混濁。周囲に対する認識や理解力が低下。 思考の鮮明さや記憶の正確さが失われている。 |
昏蒙(benumbness) | 軽い意識混濁。注意力の低下や無関心、自発性の低下がみられる。 |
意識変容
種類 | 概要 |
---|---|
せん妄(delirium) | 軽度ないし中等度の意識混濁、精神運動興奮。 脳機能が比較的急性に障害された場合に出現する。 振戦せん妄、夜間せん妄等。 |
急性錯乱状態 | 急性に生じたせん妄状態(acute confusional state) |
朦朧状態(twilight state) | 朦朧とし、全体的な判断力が低下している状態。 |
アメンチア(amentia) | 外界の認識が困難になり、思考が困難になる。 対象者自身がこの状態に当惑している状態。 |
主な原因疾患
意識障害をもたらす原因となる疾患は、以下のとおりです。
イニシャル | 英名 | 和名 |
---|---|---|
A | Alcohol Acidosis | 急性アルコール中毒 アルコール離脱症候群 アシドーシス |
I | Insulin | 低血糖 高血糖抗浸透圧症候群 糖尿病ケトアシドーシス |
U | Uremia | 尿毒症 |
E | Encephalopathy Endocrine Electrolytes | 肝性脳症 高血圧性脳症 ウェルニッケ脳症 甲状腺・副腎疾患 電解質異常(Na, K, Ca, Mg) |
O | Overdose Oxygen | 薬物中毒 低酸素脳症 CO₂ナルコーシス |
T | Trauma Temperature Tumor | 頭蓋内血腫 脳挫傷 低体温 脳腫瘍 腫瘍随伴症候群(Ca↑) |
I | Infection | 髄膜炎 脳炎 脳挫傷 |
P | Psychiatric | ヒステリー |
S | Stroke Seizure Shock | 脳卒中(くも膜下出血、脳出血、脳梗塞) 痙攣 てんかん発作 循環不全(ショック) |
各イニシャルから、「AIUEOTIPS(アイウエオチップス)」と覚えてしまいましょう。
さいごに
今回は、意識レベルに対する評価スケール「JCS」「GCS」について解説しました。
意識レベルの評価は、リスク管理という側面だけでなく、その後の検査の信頼性の基礎となるため、適切に評価を行うことがとても大切です。
どちらも使用する機会が多い評価ですので、今一度概要について整理しておくことをおススメします。
以下の記事では、記憶に関する評価スケールについて解説していますので、併せてご覧ください。
今回は以上です。最後までご覧いただき、ありがとうございました。