注意障害に対する評価について勉強したいなぁ。
今回はMARSについて解説するよ!
注意障害で主要な評価といえば、
- TMT-A、B
- CAT
といった評価がパッと思い浮かぶ方が多いのではないでしょうか。
注意障害で出現するさまざまな症状について、適切に評価を行うことは、その後の支援につなげる上でとても大切なことです。
そこで今回は、注意障害に対する評価スケール『MARS』について解説します。
聞きなれない評価かもしれませんが、本記事を一通り読めば、概要について十分理解できます!
- 注意障害に対する評価方法について学びたい!
- 「MARS」の概要について勉強したい!
- 臨床場面での実施を検討している!
上記に該当する方は、ぜひ最後までご覧いただき、今後の学習に役立ててください!
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MARSの基礎知識
MARS(Moss Attention Rating Scale)は、外傷性脳損傷患者を対象とした評価法です。
評価は、主に行動観察によって行います。
病期を問わず、急性期~慢性期まで幅広く使用することができます。
検査の構成
検査は、以下の22項目から構成されています。
- 何もしていない時に落ち着きがなく、そわそわしている
- 話題から外れたコメントを挟むことなく、会話を続ける
- 集中力を失うことなく、数分間課題や会話を続ける
- 他にしなければならないことがある時、課題を中断する
- 課題に必要な物が見えていたとしても、見落としてしまう
- その日の早い時間、または休息後の作業能力が最もよい
- 他人とのコミュニケーションを開始する
- 促さないと、中断した課題を再開できない
- 近づいてくる人の方を見る
- 中止するよう言われた後も、活動や課題を続ける
- 次のことを始めるために、スムーズに課題を中断できる
- 現在の活動ではなく、近くの会話に注意が向く
- 能力の範囲内にある課題に着手しない傾向がある
- 数分でパフォーマンスが低下するが、休息後に改善する
- 類似した活動を行う作業能力が、日ごとに異なる
- 現在の活動を妨げる状況に気付かない
- 以前の話題や行動を保続する
- 自身の作業結果における誤りに気付く
- 指示がなくても課題に取り組む
- 自身に向けられた対象物に反応する
- ゆっくりと指示が与えられた時、課題の遂行が改善する
- 課題と関係ない物を触ったり、使い始めたりする
3つの因子項目
MARSの検査項目には、
- 落ち着きのなさ/注意散漫(Restless/Distraction)
- 開始(Inhibition)
- 持続性/一貫性(Sustained/Consistent)
という3つの因子項目が存在し、それぞれの因子得点(因子合計÷項目数)を算出します。
各因子と項目の関係は、以下のとおりです。
因子 | 項目 | 因子合計 | 因子得点 |
---|---|---|---|
落ち着きのなさ/注意散漫 | 1, 10, 12, 17, 22 | /25 | /5 |
開始 | 7, 13, 19 | /15 | /5 |
持続性/一貫性 | 6, 14, 15 | /15 | /5 |
各項目の評価方法
MARSでは、各項目について以下1~5段階で評価します。
- 1=「明らかに当てはまらない」
- 2=「大部分で当てはまらない」
- 3=「時には当てはまるが、時には当てはまらない」
- 4=「大部分で当てはまる」
- 5=「明らかに当てはまる」
実施上の注意点
実施上の注意点として、以下の4点を押さえておきましょう。
- 少なくとも2日以上の観察から評価を行う
- すべての項目に回答する必要がある
- 答えに確信がない場合は、当てはまると思うものを回答する
- 項目の中には、逆転項目が含まれている
2日以上の観察評価を行う
MARSは、対象者の行動観察について、少なくとも2日以上の観察から評価を行う必要があります。
ある1日では見られた行動が、その後まったく見られなかったということも、ないとは言い切れません。
対象者の方の機能について正しく評価するためにも、観察は時間をかけて行いましょう。
逆転項目に注意
MARSに含まれる逆転項目とは、以下の表のうち(R)が付いた14項目です。
逆転項目については、「6ー評定点」をMARSスコアとして算出します。
スコアの算出方法が異なるため、誤って計算してしまわないよう注意しましょう。
結果の解釈について
MARSでは、「全項目の合計得点」=「総合得点」となります。
総合得点は、22点~110点の範囲で値を取ります。
そして、点数が高いほど注意機能が良好であることを示します。
この総合得点は、「logit score」に変換されます(以下「logit score換算表」参照)。
さいごに
本記事では、注意障害に対する評価スケール『MARS』について解説しました。
注意障害で出現するさまざまな症状について、適切に評価を行うことは、その後の支援につなげる上でとても大切なことです。
「TMT」「CAT」と比べると、臨床で使用する機会は少ないかもしれませんが、今一度概要について復習しておくことをおススメします。
以下の記事では、注意障害に対するその他の評価について、詳しく解説しています。
今回は以上です。最後までご覧いただき、ありがとうございました。