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【解説】注意障害に対する作業療法評価まとめ【課題プリント付き】

N君

注意障害について勉強したいなぁ。

カピまる

概要から具体的な評価方法まで、
くわしくまとめていくよ!

  • 作業中にミスしやすくなる
  • 同時に複数の仕事をこなせない
  • 集中力が続かない

注意障害では、こうした症状が見られるといった特徴があります。

本人が抱える症状を理解するうえで、評価を適切に実施することはとても大切なことです。

本記事では、注意障害の概要をはじめとして、具体的な評価方法について解説していきます。

またリハビリ場面で使用できる課題プリントについて、併せてご紹介していきます。

注意障害についてこれから学ぶ方だけでなく、現場で働く方も必見の内容となっています。

  • 注意機能の概要について復習したい!
  • 注意障害に対する評価方法を知りたい!
  • リハビリで使える課題プリントが欲しい!

上記に該当する方は、ぜひ最後までご覧いただき、参考にしてみてください!

この記事を書いた人

<プロフィール>

  • カピまるブログ運営者
  • 2年目作業療法士
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  • 愛用テーマ: SWELL
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目次

注意機能の概要まとめ

注意障害についてお話しする前に、注意機能の概要についてまとめます。

そもそも「注意」とは?

「注意」とは、まとめると以下のような機能です。

感覚受容器(視覚や触覚など)を通して入り込む感覚情報から、特定の必要・重要な情報を選択している状態を維持する働きのこと

つまり、対象に意識を集中させ、持続させる機能を意味します。

「注意」≒「集中力」と置き換えると、理解しやすいかもしれません。

  • 長い時間集中することができない
  • 見落とし、ミスが多い

こうした状態は、ある種の「注意(≒集中力)が低下した状態」と言えます。

主な分類方法

注意機能は、一般的に

  • 全般性注意機能
  • 空間性注意機能

の2つに分類されています。

全般性注意機能

全般性注意機能は、その名のとおり注意機能全般のことを意味しており、さらに以下のように分類されます。

段階機能
注意の焦点化(感度)特定の感覚刺激に反応する機能
注意の維持(持続性)連続あるいは繰り返して一貫した反応を行う機能
選択的注意(選択性)干渉刺激がある場合に、行動や注意を維持できる機能
注意の切り替え(転換性)異なる課題間で、注意を移動できる機能
注意の分割(配分性)複数の課題に並行して対応できる機能

これら5つの機能は階層性を有し、下位の注意機能が上位の注意機能の基礎となります。

空間性注意機能

空間性注意機能とは、外界と自分との空間的関係における注意のことです。

視覚(認知)と運動(反応)と密接に関わっているとされています。

注意障害の基礎知識

次に、注意障害の概要について解説していきます。

「注意障害」の定義

注意障害とは、日常生活場面で必要とされる注意機能が低下した状態のことです。

先ほど注意機能は、

  • 全般性注意機能
  • 空間性注意機能

の2つに分類されると述べましたが、注意障害はこのうち全般性注意機能の障害を意味します。

主な4つの分類

注意障害は、主に以下の4つに分類されます。

  • 持続性注意の障害
  • 選択性注意の障害
  • 転換性注意の障害
  • 配分性注意の障害

それぞれの概要と、障害の例についてご紹介します。

持続性注意の障害

持続性注意が障害されると、集中力が続かないといった症状が見られます。

単純な課題であっても長時間続けられず、別のことに意識が向いてしまったりします。

  • 単純な課題を続けられない
  • 時間が経つにつれて見落としや誤りが増える
  • 途中で眠くなってしまう

選択性注意の障害

選択性注意は、しばしば「カクテルパーティー効果」とも呼ばれます。

これは、立食パーティーで騒がしい状況の中でも、特定の人達の会話に耳を澄ませ、それを聞き取ることが出来る機能を意味します。

選択性注意が障害されると、ターゲットとする刺激と外部からの干渉刺激との区別が困難になり、注意が散漫になってしまいます。

  • 騒がしい中だと、会話に集中できない
  • お店にある商品の中から、特定の物が見つけられない
  • 外で待ち合わせをすると、友人を見つけられない

転換性注意の障害

転換性注意とは、特定の課題に向けて注意を維持している状態でも、周囲に対しても意識を向け、場合によっては注意の対象を変更する機能のことです。

障害された場合、こうした注意の切り替えが困難になる症状が見られます。

また反対に、過剰に注意が転換してしまう症状が出現することもあります。

  • 1つの課題に集中し、他の課題が手付かずになる
  • まわりに意識が向かず、自己中心的な行動を取る
  • まわりが気になり、注意が散漫になる

配分性注意の障害

配分性注意が障害されると、複数の刺激に対して同時に注意を向けられなくなります。

1つの課題や検査では問題が無くても、2つの課題や検査を行った際に、配分性注意の障害が発見されることがあります。

  • 一度に複数の品物の調理が行えない
  • 自動車を運転している際に、周囲の状況に意識を向けられない
  • 電話をしながら、メモを取ることができない

注意障害に対する4つのアプローチ

注意障害に対するアプローチ方法には、以下の4つがあります。

  • 全般的アプローチ
  • 特異的アプローチ
  • 動作課題
  • 環境調整

注意障害では、

  • 作業中にミスしやすくなる
  • 同時に複数の仕事をこなせない
  • 集中力が続かない

といった症状がみられ、日常生活を送るうえで大きな影響を及ぼします。

自立した生活を送れるよう支援を行うためには、注意障害に対する適切なアプローチ方法を知ることが大切です。

作業療法を行う上での大原則

注意障害に対してアプローチを行う上で、以下の点は必ず押さえておきましょう。

  • しっかりと覚醒した状態の時にリハビリを行う
  • 課題の難易度は、低いもの→高いものの順に行う
  • 結果に対するフィードバックを適宜行う

しっかりと覚醒した状態の時にリハビリを行う

十分に覚醒していない場合、

  • 課題に集中できない
  • 過度に疲労を感じてしまう

といった状態に陥る可能性が高くなります。

N君

眠たい時や疲れている時だよね!
確かに集中しろと言われても難しいよ…。

何よりもまず初めに、課題を実施できる状態であるかどうか確認するようにしましょう。

課題の難易度は、低いもの→高いものの順に行う

課題を実施する順番にも、注意が必要です。

  • 簡単すぎる問題が続く場合
  • 難しすぎる問題が続く場合

こうした課題では、その方の機能を適切に評価することができません。

少しずつ難易度を上げていくことで、集中力を長時間保つことが可能となり、正しく評価することができます。

難しい課題ばかりくり返し行ってしまうと、

カピまる

全然できなかった…
自分はなんてダメな人間なんだろう…

このように、自己肯定感の低下にもつながってしまう恐れもあるため、気をつけましょう。

結果に対するフィードバックを適宜行う

  • 間違いが何問も続いてしまっている場合
  • 表情などに不安そうな感情が表れている場合

こうした時には、現在の状態を伝え、正しく修正することを促す必要があります。

声掛けによって一区切りしながら行った方が、高い集中力を保つことができるので、課題成績も良くなります。

カピまる

フィードバックのし過ぎはNGだよ!
適切なタイミングで行うことが大切なんだ!

以下の記事では、それぞれの具体的なアプローチ方法について、くわしく解説しています。

主な評価方法

  • 持続性注意
  • 選択性注意
  • 転換性注意
  • 配分性注意

という4つの注意機能に対する総合的な評価スケールとして、「標準注意検査法(CAT )」が一般的に使用されています。

標準注意検査法(CAT)の概要

標準注意検査法(CAT)の評価できる機能は、以下のとおりです。

  • 注意の容量
  • 持続性
  • 選択
  • 転換(変換)
  • 配分

またこちらの検査は、以下7つの下位項目から構成されています。

  • Span(視覚性、聴覚性)
  • 末梢課題(視覚性、聴覚性)
  • SDMT( Symbol Digit Modalities )
  • Memory Updating Test
  • PASAT( Paced Auditory Serial Addition Test )
  • Position Stroop Test
  • CPT( Continuous Performance Test )

CATの概要については、以下の記事でくわしく解説していますので、あわせてご覧ください。

参考:その他評価スケールについて

注意障害に対するその他の評価スケールには、以下のようなものがあります。

注意機能評価スケール
持続性注意・CPT( Continuous Performance Test )
・PASAT( Paced Auditory Serial Addition Test )
・Trail Making Test ( Part A, B )
・末梢課題(文字、記号等)
選択性注意・仮名拾いテスト
・AMM( Audio-Motor Method )
・Stroop Test
・上中下テスト
・PASAT
・Trail Making Test
・末梢試験
転換性注意・Trail Making Test( Part A, B )
・SDMT( Symbol Digit Modalities Test )
・Memory Updating Test
配分性注意2つの注意課題を同時に実施することで評価する
( ex. PASATとTrail Making Test Bを実施する )

本記事では、その中でも以下の評価スケールについて、詳しくまとめていきます。

  • Span(視覚性、聴覚性)
  • 末梢課題(視覚性、聴覚性)
  • SDMT( Symbol Digit Modalities )
  • Memory Updating Test
  • PASAT( Paced Auditory Serial Addition Test )
  • Position Stroop Test
  • CPT( Continuous Performance Test )

評価の説明にあわせて、すぐに使える課題プリントもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

Span(視覚性・聴覚性)

Span(視覚性、聴覚性)では、

  • 作動記憶
  • 短期記憶
  • ワーキングメモリー

といった機能について評価を行います。

この評価スケールは、「Digit Span(数唱)」「Tapping Span(視覚性スパン)」という2つの課題で構成されます。

検査の実施方法について

この検査では、

  • 順唱(forword)
  • 逆唱(backword)

という2つの方法によって評価を行います。

順唱(forword)
〇もしくは✖第1系列〇もしくは✖第2系列
2-55-4
1-8-34-9-7
4-2-6-11-6-3-8
9-5-1-8-27-3-9-4-2
7-3-9-1-4-66-1-2-5-7-9
9-5-2-7-1-3-41-3-7-2-8-4-6
3-6-7-9-1-8-4-59-6-7-2-5-1-3-8
7-4-5-9-3-8-1-6-25-3-4-9-7-1-6-8-2
逆唱(backword)
〇もしくは✖第1系列〇もしくは✖第2系列
9-26-1
3-7-41-5-8
2-8-6-14-9-2-7
4-1-9-2-53-7-5-2-6
2-1-5-8-9-38-4-2-9-6-3
8-6-3-1-2-7-96-9-1-7-5-8-4
3-8-2-7-6-9-4-17-5-2-8-4-3-1-9
6-3-5-7-1-2-4-9-82-9-7-3-1-6-4-8-5

実施方法については、以下の手順を参考にしてください。

  • まず第1系列の数字を1つ1秒の早さで読み上げる。
  • その直後に順唱(そのままの順番)での反応を確認する。
  • 正答の場合は次の系列に進み、間違えた場合は第二系列を行う。
  • 同じ桁の2系列で不正解の場合、検査を中止する。
  • 聞き返しがあった場合、再度説明は行わない。
  • 注意して聞くように促してから、第2系列に移る。

繰り返し説明を行わない点については、正確に検査を行う上でとても重要ですので、押さえておきましょう。

PASAT( Paced Auditory Serial Addition Test )

PASATでは、配分性注意機能について評価を行います。

1-4-5-6-9-5-7-2-1-8-4…

といったように次々と読み上げられる数字と、1つ前の数字を足していく課題です。

数字を読み上げる間隔によって、「2秒条件」「1秒条件」が設定されています。

60個のうち、いくつ正解したかによって評価します。

PASAT:評価用紙
PASAT:評価用紙

Trail Making Test ( Part A, B )

TMTとは、トレイルメイキングテスト(Trail Making Test)の略称です。

  • TMT-A
  • TMT-B

という2種類の検査から構成されており、

  • 視空間認知機能
  • 目と手の協調性
  • 視野や視力
  • 情報処理能力
  • 各種注意機能(持続性・選択性・転換性・配分性)
  • ワーキングメモリー

といった、さまざまな注意に関連する機能について評価することができます。

TMT-A:評価用紙
TMT-A:評価用紙
TMT-B:評価用紙
TMT-B:評価用紙

詳細については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

末梢課題(文字、記号等)

抹消課題では、選択性注意注意機能について評価を行います。

  • 視覚性抹消課題(Visual Cancelling Test )
  • 聴覚性検出課題(Auditory Detection Test)

という2つの検査で構成され、「数字」「図形」「仮名」の3つのパターンを使用します。

指定された数字・図形・仮名を見つけ、〇で囲ったり線を引くことによって、早く・正確に抹消していきます。

抹消課題(数字)
抹消課題(数字)
抹消課題(平仮名)
抹消課題(記号)
抹消課題(平仮名)
抹消課題(平仮名)

仮名拾いテスト

仮名拾いテストは、選択性注意機能について評価を行います。

この検査は、ひらがなで書かれた文章から「あ・い・う・え・お」に〇をつける課題です。

2分間で正しく〇をつけられた数で評価します。

仮名拾いテスト
仮名拾いテスト

Position Stroop Test 上中下テスト)

Position Stroop Testでは、転換性注意機能について評価を行います。

検査では、「上」「中」「下」という漢字が書かれている位置について回答します。

上中下テスト
上中下テスト

画像の問題(上段)では、「上、中、下、中、上、上、中、下・・・・」となります。

※文字の音読ではなく、その字が書かれている「位置」を答える点に注意しましょう。

さいごに

本記事では、注意障害の概要をはじめとして、具体的な評価方法について解説しました。

  • 作業中にミスしやすくなる
  • 同時に複数の仕事をこなせない
  • 集中力が続かない

といった症状に対して理解するうえで、正しい知識をもって評価することはとても重要です。

具体的なアプローチ方法や課題プリントを参考に、今後の生活にぜひ活用してください!

今回は以上になります。最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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