こんにちは、カピまるです。
今回は、前回までの内容に引き続き、『注意障害に対する作業療法』をテーマに解説します。

注意障害に対する評価について、
もっとくわしく勉強したいな!!

課題プリント等あったら、
参考までに教えて欲しいです。
本記事では、こうしたご意見にお答えしていきます。
上記に該当する方は、ぜひ参考にしていただき、今後の学習に役立ててください。
↓↓注意障害に関するその他の記事も、あわせてご覧ください↓↓
【復習】注意障害に対する評価一覧

注意障害に対して用いられる評価尺度は、以下のとおりです。
注意機能 | 評価尺度 |
持続性注意 | ・CPT( Continuous Performance Test ) ・PASAT( Paced Auditory Serial Addition Test ) ・Trail Making Test ( Part A, B ) ・末梢課題(文字、記号等) |
選択性注意 | ・仮名拾いテスト ・AMM( Audio-Motor Method ) ・Stroop Test ・上中下テスト ・PASAT ・Trail Making Test ・末梢試験 |
転換性注意 | ・Trail Making Test( Part A, B ) ・SDMT( Symbol Digit Modalities Test ) ・Memory Updating Test |
配分性注意 | 2つの注意課題を同時に実施することで評価する ( ex. PASATとTrail Making Test Bを実施する ) |
そして、
- 持続性注意
- 選択性注意
- 転換性注意
- 配分性注意
という4つの注意機能に対する総合的な評価指標として、『標準注意検査法( Clinical Assessment for Attention:CAT )』が使用されます。
標準注意検査法(CAT)の評価項目
標準注意検査法(CAT)の評価項目は、以下のとおりです。
- Span(視覚性、聴覚性)
- 末梢課題(視覚性、聴覚性)
- SDMT( Symbol Digit Modalities )
- Memory Updating Test
- PASAT( Paced Auditory Serial Addition Test )
- Position Stroop Test
- CPT( Continuous Performance Test )
↓↓CATの概要については、以下の記事をご覧ください↓↓
本記事では、こうした評価について、さらに詳しくまとめます。
【まとめ】評価の概要について

本記事では、以下の評価項目について、詳しくまとめていきます。
- Span(視覚性・聴覚性)
- PASAT( Paced Auditory Serial Addition Test )
- Trail Making Test ( Part A, B )
- 末梢課題(文字、記号等)
- 仮名拾いテスト
- 上中下テスト
あわせて課題プリントをご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
Span(視覚性・聴覚性)
Span(視覚性、聴覚性)では、
- 作動記憶
- 短期記憶
- ワーキングメモリー
といった機能について評価を行います。
Spanは、
- Digit Span(数唱)
- Tapping Span(視覚性スパン)
という2つの課題から構成され、
- 順唱(forword)
- 逆唱(backword)
の2つの方法で評価を行います。
実施方法について、以下にまとめていきます。
- まず第1系列の数字を1つ1秒の早さで読み上げる。
- その直後に順唱(そのままの順番)での反応を確認する。
- 正答の場合は次の系列に進み、間違えた場合は第二系列を行う。
- 同じ桁の2系列で不正解の場合、検査を中止する。
- 聞き返しがあった場合、再度説明は行わない。
- 注意して聞くように促してから、第2系列に移る。
繰り返し説明を行わない点については、正確に検査を行う上でとても重要です。
読み上げる数字(順唱・逆唱)は、以下のとおりです。
順唱(forword)
〇or× | 第1系列 | 〇or× | 第2系列 |
2-5 | 5-4 | ||
1-8-3 | 4-9-7 | ||
4-2-6-1 | 1-6-3-8 | ||
9-5-1-8-2 | 7-3-9-4-2 | ||
7-3-9-1-4-6 | 6-1-2-5-7-9 | ||
9-5-2-7-1-3-4 | 1-3-7-2-8-4-6 | ||
3-6-7-9-1-8-4-5 | 9-6-7-2-5-1-3-8 | ||
7-4-5-9-3-8-1-6-2 | 5-3-4-9-7-1-6-8-2 |
逆唱(backword)
〇or✖ | 第1系列 | 〇or✖ | 第2系列 |
9-2 | 6-1 | ||
3-7-4 | 1-5-8 | ||
2-8-6-1 | 4-9-2-7 | ||
4-1-9-2-5 | 3-7-5-2-6 | ||
2-1-5-8-9-3 | 8-4-2-9-6-3 | ||
8-6-3-1-2-7-9 | 6-9-1-7-5-8-4 | ||
3-8-2-7-6-9-4-1 | 7-5-2-8-4-3-1-9 | ||
6-3-5-7-1-2-4-9-8 | 2-9-7-3-1-6-4-8-5 |
PASAT( Paced Auditory Serial Addition Test )
PASATでは、配分性注意機能について評価を行います。
この検査では、

1-4-5-6-9-5-7-2-1-8-4…
のように、次々と読み上げられる数字と、1つ前の数字を足していく課題です。
数字を読み上げる間隔によって、
- 2秒条件
- 1秒条件
が設定されています。
60個のうち、いくつ正解したかによって評価します。

Trail Making Test ( Part A, B )
TMTでは、
- 視空間認知機能
- 目と手の協調性
- 視野や視力
- 情報処理能力
- 各種注意機能(持続性・選択性・転換性・配分性)
- ワーキングメモリー
といった、さまざまな機能について評価することができます。
↓↓詳しい内容は、以下の記事をご覧ください↓↓


末梢課題(文字、記号等)
抹消課題は、
- Visual Cancelling Test (視覚性抹消課題)
- Auditory Detection Test (聴覚性検出課題)
という2つの課題から構成され、選択性注意機能について評価を行います。
この検査では、
- 数字
- 図形
- 仮名
の3つのモダリティを用いて検査します。
指定された数字・図形・仮名を見つけ、〇で囲ったり線を引くことによって、早く・正確に抹消していきます。
数字の場合

図形の場合

仮名の場合

仮名拾いテスト
仮名拾いテストは、選択性注意機能について評価を行います。
この検査は、ひらがなで書かれた文章から「あ・い・う・え・お」に〇をつける課題です。
2分間で正しく〇をつけられた数で評価します。
同様の検査で、聴覚的刺激を用いるものを『Audio-Motor-Method(AMM)』といいます。
AMMでは、「ト・ド・ポ・コ・ゴ」が毎秒1音の早さで呈示され、「ト」に合図をします。

◎Position Stroop Test (上中下テスト)
Position Stroop Testでは、転換性注意機能について評価を行います。
検査では、「上」「中」「下」という漢字が書かれている位置について回答します。
文字の音読ではなく、その位置を答える点がポイントです。

さいごに
本記事では、『注意障害に対する作業療法』をテーマに解説しました。
課題プリントもあわせてご紹介しましたので、ぜひ参考にしてみてください。
本記事を、今後の学習に役立てていただければ幸いです。
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