こんにちは、カピまるです。

ADLという言葉を最近よく耳にします。
概要について分かりやすく教えて下さい!
今回は、自立生活の指標である「ADLの概要」について解説していきます。
高齢化社会が進む日本において、医療従事者のみならず、すべての人が知っていて損はない内容です。
本記事では、
- ADLの概要
- ADLの分類
- ADL低下に伴う日常生活への影響
- 評価様式のご紹介
- ADLを維持するためのポイント
の5つについて、それぞれ詳しく解説していきます。
是非参考にしていただき、今後の生活や学習に役立てて下さい。
ADLの概要

ひとりの人間が独立して生活するために行う基本的な、しかも各人ともに共通に毎日繰り返される一連の動作群。
ADLとは、「 Activities of Daily Living :日常生活活動」の略語です。
ADLは医療や介護の現場では、その人の日常生活における自立度を図る指標として広く用いられています。
作業療法士を始めとしたリハビリテーション専門職は、各領域においてその人のADLを向上させることを目指して日々の業務に励んでいます。
◎ADLは様々な要因の影響を受けている
ADL機能は、主に以下の4つの要因から影響を受けています。
- 身体的要因
- 精神・認知的要因
- 社会的要因
- 環境要因
大事なことは、「必ずしも身体機能の低下だけが影響するものではない」ことです。
精神面や周囲の環境、人との関わりなど、様々な要因による影響を受けています。
自立度を評価する際は、様々な要因による影響を考慮し、多面的に考えていくことが重要です。
ADLの分類

ADLは、主に以下の2つに分類されます。
- BADL
- IADL
それぞれについて解説していきます。
1.BADL
BADLとは、「 Basic Activities of Daily Living:基本的日常生活活動」の略語です。
文字通り、「基本的な日常生活活動」を意味しており、例えば以下のような活動を指します。

BADLは、それぞれの英語の頭文字をとって「DEATH」と覚えましょう。

ちょっと縁起悪い気がするけど…。
BADLに該当する活動は、すべて日常生活上の基本動作です。
機能低下によって活動が十分に出来なくなると、命に関わる状態や介護が必要な状態となる可能性があるため、注意が必要です。
2.IADL
IADLとは、「 Instrumental Activities of Daily Living:手段的日常生活活動」の略語です。
BADLと比べてより高い社会性や認知機能が要求される、応用的な日常生活活動を指しています。
IADLには、例えば以下のような活動が含まれます。

英語の頭文字をとって「SHAFT」と覚えましょう。
つまり、IADLに該当する活動は「社会生活の軸になる活動」と言えます。
IADLには上記の活動に加えて、趣味活動のような高度な社会機能を必要とする活動も含まれます。
ADL低下に伴う日常生活への影響

先ほど少し述べましたが、ADL機能は
- 身体的要因
- 精神・認知的要因
- 社会的要因
- 環境要因
という4つの要因から主に影響を受けています。
そして、そのうち1つによる影響だけでも、ADL機能は低下してしまいます。
具体的な例は、以下のとおりです。
- 動作時や歩行時にふらついて転倒しやすくなる
- 物品の操作が難しくなり食事や更衣が困難になる
- 歩行が困難になり、杖などが必要な状態となってしまう、etc.
- 名前を思い出せない
- 購入したい物が分からない
- 金額の計算が出来ない
- 帰り道が分からない
- 料理の手順が分からない、etc.
身体機能と精神・認知機能がともに低下してしまった場合、
- 活動性が低下する
- 生きがい、やりがいを感じられなくなる
状態となってしまい、家に閉じこもりがちになってしまいます。
地域の方との交流やコミュニケーションの機会が徐々に減少し、更なる認知機能の低下やうつ症状のような精神疾患の発症へと繋がることも考えられます。
ADL機能の低下が深刻になってしまうと、自立した生活を送ることが困難になり、要介護状態や寝たきりになってしまう恐れがあるため、注意が必要です。
ADLの評価方法

ADLの評価について、国内外で使用されている評価様式をご紹介します。
1.FIM(機能的自立度評価法)
1970年代にアメリカで開発された評価手法です。
日本でも医療従事者のみならずあらゆる人が簡便に使用できる手法として、広く使用されています。
FIMは、合計18項目の「しているADL」に関して、介助量に応じて7段階で評価を行うことが出来ます。
2.Barthel Index
アメリカの理学療法士Barthel氏によって開発されました。
FIMと同様に、国内外で幅広く使用されているADL評価手法の1つです。
Barthel Indexは、合計10項目の「できるADL」に関して、介助量に応じて4段階で評価を行うことが出来ます。
3.Katz Index
こちらの評価様式も同様に、アメリカで開発されました。
Katz Indexは6項目の「しているADL」に関して、「自立」と判定された数に応じてA~Gの7段階で判定を行います。
様々な検査を通して、対象者のADL機能について多面的に評価を行うことが出来ます。
4.老研式活動能力指標
老研式活動能力指標は、東京都老人総合研究所によって1987年に開発された評価尺度です。
こちらの評価様式は、
- 手段的自立
- 知的能動性
- 社会的役割
という3領域、全13項目から構成されています。
評価全体を通して、特に「IADL機能」について評価を行うことが出来ます。
評価出来るのは、高齢者が地域で自立して日常生活を送るために必要な高次の生活機能だけではありません。
「知的能動性」や「社会的役割」などの下位尺度について、網羅的に評価することが出来ます。
5.Lawtonの尺度
Lawtonの尺度は、1960年代にLowdon氏とBrody氏によって開発された評価尺度です。
主に高齢者を対象として、「IADL機能」について評価を行うことが出来ます。
臨床では、FIMやBarthel Indexと比べると使用する機会は少ないかもしれません。
万が一の時に備えて、評価の概要については確認しておくことをおススメします。
6.Dask-21
Dask-21は、認知症の検出と重症度の評価を目的として使用されています。
検査項目としてIADL項目を多く含むことから、軽度認知症の検出に優れています。
評価自体は、短時間で簡単に実施することが出来ます。
そのため、専門職と対象者の方やそのご家族との「共通言語」として用いられています。
一方、評価を実施するには事前に研修を受講し、認定を受ける必要があるため注意が必要です。
ADLを維持するために

ADLを維持するためには、身体機能や精神・認知機能の維持・向上を図ることに加えて、その人を取り巻く地域の環境への介入が非常に重要です。
具体的には、
- 地域の方とのコミュニケーションの機会を増やす
- ボランティア活動等へ参加し、社会的役割を担う
といったことです。
こうした経験は、その人の大きな生きがいとなるはずです。
リハビリテーション専門職として、生活環境に対し適切な支援を行うことは非常に重要です。
さいごに
本記事では、
- ADLの概要
- ADLの分類
- ADL低下に伴う日常生活への影響
- 評価様式のご紹介
- ADLを維持するためのポイント
の5項目について解説しました。いかがでしたでしょうか。
本記事をADLに関する知識の整理や今後の生活に役立てていただければ幸いです。
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